Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間3月21日、Microsoft Defender Advanced Threat Protection(ATP)を、Macでも動くようにすると発表した。これまでは、Microsoft 365に加入するマシンを保護するためのWindows用ソリューションであり、Windowsマシンを安全に保つための、IT管理者の重要なツールだった。名前も、今まではWindows Defender ATPと呼ばれていたが、Macにも搭載されることになったっため、「Windows Defender」という部分を「Microsoft Defender」に入れ替えることを、Microsoftは決定した。
「私たちにとって重要なのは体験です。その上にあるのが人、そして個人がもっと生産的になれるよう手助けすることです」と、MicrosoftのOfficeおよびWindows担当副社長、Jared Spataro氏は語った。「かつてOfficeに対しても同じことをしたように、Windowsのみ、という状態から脱却したのです。それは私たちにとって大胆な行動でした。でも、絶対的に正しいことだったのです。今回の動きも、同じところ目指しているのです」。
同氏は、これはMicrosoftが「常にWindows中心にしたアプローチ」から脱却しつつあることを意味するものだと強調した。彼はこの動きを、OfficeアプリをiPadとAndroidでも使えるようにしたことになぞらえた。「私たちは、すべての端末を安全に保つことを目指しています。それは、このMicrosoft 365の体験が、Windows中心のものだけではないようすることにつながります。それらが目指すのは、同じ方向です」と、Spataro氏は述べた。もちろん彼が言いたいのは、ここで重要なのが、単にMac用のサービスをリリースしたことではなく、いかにしてMicrosoft 365のクライアントに価値を提供できるのか、ということをMicrosoftは検討し直していることだ、という意味だろう。
Microsoft DefenderがMicrosoft 365パッケージの一部であることを考えると、そのユーザーがなぜMacを気にする必要があるのか、という疑問もあるだろう。しかし、WindowsマシンとMacの両方を使い、すでにすべての従業員にOfficeを供給しているような会社はいくらでもある。1つのセキュリティ対策で、その両方のシステムをカバーできれば、IT管理部門の仕事は大幅にシンプルなものとなる。セキュリティ上の脆弱性に対処するのは、1つのシステムだけでも楽な仕事ではないのだから。
Mac版のMicrosoft Defender ATPの発売に加えて、同社はこのサービスで使えるようになる、新たな脅威および脆弱性管理機能の導入も発表した。すでにここ数ヶ月で、Microsoftは、いくつかの新機能を導入していた。企業がセキュリティ上の脅威を予防的に監視し、特定するのを補助するものだ。
「最近、顧客から聞くのは、環境はますます複雑になり、検出される警告の量は、もはや手に負えないものになりつつある、ということなのです」と、Spataro氏は明かす。「これらをすべて解析して、何をすべきか判断するために必要な、何千人もの人員を雇うための予算はまったくないでしょう」。
Microsoftでは、この新しいツールを、自社の機械学習機能と組み合わせ、スレッドの優先順位を決定して顧客に提示し、さらに改善している。
Spataro氏によれば、今回の発表は、Microsoftとしてこれまでにはなかったほど、徐々にセキュリティ企業に変貌しつつあるという事実に行き着くものだろう。「私たちは、みなさんが気付いているより、はるかに大幅な進歩を遂げたと考えています」と、彼は言う。「それは市場の動きに呼応したものなのです」。彼によれば、長いこと顧客から、Microsoftに端末の保護を手助けして欲しいと、要望されてきたという。 顧客も、今やMicrosoftが、Windows中心から、個人中心のアプローチに移行しつつあることに気付いていて、顧客のシステムを広範囲に保護してくれることに期待している、というのだ。そして同時にMicrosoftは、ユーザーから得られる何十億ものシグナルを活用して、顧客を予防的に支援することが可能になると認識している。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)