MINIとHAXが運営するアクセラレーター”Urban-X”のデモデイ――多彩なジャンルのハードウェアが続々登場

Urban-Xのショーケースは、同社のアクセラレータープログラムに参加している8社のスタートアップを、投資家や報道陣向けにお披露目するためのクローズドなイベントだ。彼らのイベントに関する噂を確認するため、私も先週同イベントに参加してきた。

第2回となるプログラムに参加した8社のうち、私は公害や視覚障害、街中の輸送手段、そして街の清潔さに関する問題に取り組む、O2O2 Facewear、WearWorks、Upcycles、Sencityという4つのスタートアップに注目した。

視覚障害者のための触覚ナビゲーションシステム

今回のイベントで紹介されたものの中でも、人の人生を変える可能性を持っていると思えたのが、WearWorksのプロダクト。同社がプロトタイプをお披露目したこのリストバンド型の製品は、GPSベースの視覚障害者向けナビゲーションシステムだ。

WayBandと呼ばれるこのプロダクトは、強力なモーターを使って触覚フィードバックを発するため、ユーザーは現在地や進行方向を肌で感じることができる。

これまでに多くの視覚障害者がWayBandをテストしており、中には今年のニューヨークマラソンに参加予定のウルトラランナーもいる。

もしもマラソンでのテストが成功すれば、一般販売開始に向けて彼らはさらに多くのアーリーアダプターにWayBandを配布していく予定だ。

マスクのマネタイズ

先進的なフェイスウェアーを開発しているO2O2は、彼らが”数十億規模の市場”と呼ぶ分野に挑もうとしている。同社はまず、公害や大気汚染が世界でも最低レベルの北京をはじめとする、世界の各都市を中心にビジネスを展開しようとしている。

予想外にも、出席者はO2O2のプロダクトを試すことができなかった(当日お披露目したものは社員の顔の形に合わせて作られたためと同社は話していた)が、販売開始までにはさまざまな顔の形状に合うよう4種類のモデルと、センサーやフィルターやバッテリーなどカスタマイズ可能なモジュールを準備する予定だという(上の写真はプロトタイプ)。

このマスクのすごいところは、専用のアプリを使うことで外気の汚染度合いだけでなく、ユーザーの体の様子(恐らくこれは酸素摂取量を基に割り出される)も確認できるということだ。

さらにユーザーデータを収集することで、街のどの部分でもっとも空気が汚れているかといった情報を日々入手できるため、各地域の公害対策にも寄与することができる。

都市部の輸送手段を簡素化

Upcyclesがステージに上がってまず言ったのが、彼らは人間中心的かつ反ロボットの考えを持っているということだった。この発言で上手くオーディエンス心を掴んだ彼らは、続いて都市で使える新しいタイプの輸送車両Yaxを発表し、さらに参加者を盛り上げた。

都市部の狭い道でも最大500ポンド(230キロ弱)の荷物を自由自在に運べるYaxは、平らな荷台が取り付けられた変わった見た目の三輪車だ。Yaxを運転する配達員は、座った状態でも四方を見渡せるようになっているほか、操作方法に関しては普通の自転車とほぼ変わらない。

新時代の……デジタルゴミ箱?

恐らく私が見たプレゼンテーションの中でもっともニッチなプロダクトだったのが、SencityのTetraBINだ。オーストラリアのショッピングモールや大使館にも作品が採用されている彼らの正体はデザイン会社。都市部の路上の清潔さに関する問題に取り組んでいる彼らは、インタラクティブで見た目にも楽しいゴミ箱を開発したのだ。

センサーやスピーカー、マイク、全体を覆うLEDが搭載されたTetraBINは、恐らく誰もこれまでに見たことがないくらいハイテクなゴミ箱だ。街を行き交う人は、ゴミを捨てたときにビジュアル作品を楽しめるだけでなく、近くのカフェまでの道や、 どのゴミをどの箱に捨てればよいかといったことも尋ねられ、その答えを視覚的に確認することができる。

TetraBINがニューヨークのような街でどのくらい役に立つかはまだ分からないが、私が心配しているのは、このようなプロダクトが壊されてしまわないかということだ……

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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