MITの学生たちがロボットやドローン製作の全行程を自動化したシステムを開発

付加製造法は、特定の作業に理想的なソリューションであることが証明されているが、この技術は多くのカテゴリーで従来の製造方法におよばない点がある。その最も大きなものの1つは、3Dプリントした後の組立て工程だ。3Dプリンターは非常に複雑な部品を作成することができるが、それを組み立てるには外部の人間または機械が必要になる。

MIT(マサチューセッツ工科大学)のCSAIL(MITコンピュータ科学・人工知能研究所)が米国時間2月8日に公開した「LaserFactory(レーザー・ファクトリー)」は、「ワンストップショップ」でロボットやドローンなどの機械を製作しようとする新しいプロジェクトだ。このシステムは、ソフトウェアキットとハードウェアプラットフォームで構成されており、機械の構造を作成し、回路やセンサーを組み立てることができるように設計されている。

このプロジェクトを現実化した完全なバージョンは5月のイベントで紹介される予定だが、チームはこのコンセプトが実際にどのようなものであるかを示すために、少しだけカーテンを開けて見せた。以下はCSAILのページからの抜粋だ。

あるユーザーが自分のドローンを作りたいと思っているとしましょう。それにはまず、パーツライブラリから部品を配置してデバイスを設計し、回路トレース(プリント回路基板上の銅線やアルミ線で、電子部品間を電気が流れるようにするためのもの)を描きます。次に、2Dエディタでドローンのジオメトリを完成させます。この場合は、プロペラとバッテリーをキャンバス上に配置し、それらを配線して電気的な接続を行い、クアッドコプターの形状を定義する輪郭を描きます。

基板のプリントは確かに新しいものではない。それだけに留まらないCSAILのマシンの特徴は、1台のマシンに詰め込まれた機能の幅広さだ。それは下の動画を見れば一目瞭然だろう。

もちろん、これはまだ初期の段階であり、正式発表は数カ月先だ。多くの疑問点があり、もっといえば、このような複雑な機械にとって多くの潜在的な不安要素もある。それは特に、これが専門家ではない人をターゲットにしているらしいことだ。

博士課程の学生であり、開発リーダーでもあるMartin Nisser(マーティン・ニッサー)氏は、リリースの中で次のように述べている。「安価で高速で誰でも扱える製造方法の実現は、未だに課題として残さています。LaserFactoryは、3Dプリンタやレーザーカッターのような広く利用可能な製造プラットフォームを活用し、これらの機能を統合して、機能的なデバイスを作るための全工程を1つのシステムで完全に自動化した初めてのシステムです。

そのソフトウェアは大きな鍵となりそうだ。ユーザーは実際に製作が始まる前に、製造工程を画面で視覚的に確認することができる。未然に不具合を発見できるかもしれない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:MIT3Dプリント

画像クレジット:MIT

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。