NASAは国際線の飛行時間を大きく減らせるような超音速旅客機の実用化に乗り出す計画だ。騒音レベルでコンコルドを下回ることもNASAが提示した超音速旅客機が実現を狙う目標のひとつだ。
Bloombergの記事によれば、NASAはこの8月から超音速旅客機のフルスケールモデル製作のため競争入札を開始するという。採用された場合、向こう5年間で4億ドルの予算が予定されるプロジェクトだ。
ビジネスがグローバル化し、仕事が世界に分散化する中、 航空旅客運輸の高速化のニーズが高まっている。NASAは新しい商用超音速機の開発によってにこれに応えたいとしている。NASAでは開発された航空機デザインを利用してロッキード・マーチン、ゼネラル・ダイナミクス、ボーイングのような巨大企業からコロラドのBoom Supersonicのようなスタートアップまでが広く製造に参加することを期待している。
私は今年に入って、コロラド州のBoom Supersonicを取材し、CEOのBlake Schollにインタビューしたことがある。Schollは現在開発中の機体の目標の一つは騒音の大幅低下であることを認めた。現在アメリカ合衆国の陸上を超音速旅客機が飛行することが規則で禁止されている理由の大きなものが騒音問題だ。Boomでは当初の空路をすべて洋上に設定し、この問題を避けようとしている(コンコルドの場合もアメリカについてはニューヨークの空港を利用する大西洋横断ルートのみが設けられていた)。
Bloombergの記事によれば、NASAではロッキードで開発されたデザイン(トップ画像)をベースとして高級車が高速道路を走行する程度の騒音レベルを達成しようとしている。これは60dBから65dB程度であり、Concordeの90dBよりはるかに静かだ。
NASAでは2022年までに人口密集地帯の上空飛行を含む本番テストを実施したい考えだ。アメリカにおける超音速旅客機の飛行を制限する規則を変えるためにこの結果を使う計画だという。Boomでは実証機の飛行を来年にも開始する。この10年ほど休眠状態だった超音速旅客機の実現に向けていよいよ競争が始まることになりそうだ。
画像: Lockheed Martin
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)