NASAは月面ロボット探査車隊に搭載する超小型科学装置のアイデアを募集

NASAのジェット推進研究所(JPL)は、アルテミス計画やその他の月面ミッションで使用する超小型月面探査車に搭載できる科学装置のアイデアの一般公募を開始した。このアイデアチャレンジは、クラウドソーシング・プラットフォームであるHeroX(ヒーローエックス)にて「Honey, I Shrunk the NASA Payload」(ねえ、NASAのペイロードを縮めちゃったよ)と、31年前の映画「ミクロキッズ」(原題「Honey, I Shrunk the Kids」)のタイトルを現代風にもじった見出しで公開されている。求めているのは、最大で100×100×50mm、または「新しい石けんぐらいの大きさ」の装置だ。

なぜこんなに小さくする必要があるのか?NASAは、かつて大型ロケットと大型オービターと大型着陸船でのみ実現できた科学調査を以前では不可能だった短い周期で、ずっと低コストで行いたいと考えているのだ。人類の月着陸とその後の居住までの長い道のりを整備し、補給ミッションの費用を賄うために「月の資源を利用する実用的で経済的な方法」が必要になるとNASAは話している。地球の周回軌道を回る国際宇宙ステーションへの輸送ですら、すでに高額な経費が掛かっているが、はるか遠いまでとなるとそれは天文学的な数字に膨らんでしまう。

目標は、超小型探査車を早急に運用可能にして、1年から4年以内に月に送り込むことだ。JPLは、国際的コミュニティーの専門知識や経験を借りて、既存の材料と技術でどこまで可能かを探りたいと考えている。今回のアイデアチャレンジは、あくまでコンセプト段階のデザインを募集するものだが(賞金として準備されているのは16万ドル=約1700万円)、長期的にはそれを出発点として実際の技術的パイプラインを構築し、月面探査車にその技術を採り入れ、月に送り込む計画だ。

チャレンジには簡単に参加できる。応募した内容の権利、つまり知的所有権はすべて応募本人に帰属する。ただし、最終選考まで残った際には、アメリカ政府が適切と判断したいかなる目的にもそのアイデアを使えるよう許諾する事実上永久的なロイヤリティーフリーのライセンス契約を、新たに米政府と結ぶことが条件となっている。

もし、宇宙のルンバに搭載できるミニサイズの環境センサーとデータ収集装置のアイデアをお持ちなら、このJPLのアルバイトを除いて、NASAの深宇宙探査計画に貢献できる道はない。もし、そのアイデアが本当に優れている場合だが。

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(翻訳:金井哲夫)