韓国の大手ネット企業Naverは、自動運転車の公道テストに向けた最終段階に入り、現在国土交通部からの許可を待っている。同社はTechCrunchに対して、当局から最終許可を受け取り次第すぐに公道でのテストを開始すると話しており、関係者からの情報をまとめた韓国紙Yonhapの報道によれば、早ければ来月にはテストがスタートする予定だ。
Naverは韓国の巨大ウェブポータル運営企業で、同国最大の地図プラットフォームやメッセージアプリのLINE、そしてSnapchatに似たSnowなどを展開している。Naverが力をいれているAIへの取り組みの一環としてはじまった自動運転テクノロジーの開発は、同社がこれから「グローバル企業と競合していく」上で欠かせない要素だと、Naver CTOのChang-hyeon Songは語った。
さらにNaverは自動運転車がデータを集める上でもとても役に立つと考えており、彼らのコアビジネスとのシナジーも期待できる。「自動化の時代においては、自動車自体が情報交換のためのプラットフォームとなっていくでしょう」とNaverの広報担当者は話す。BaiduやGoogleのように、自動運転テクノロジーを事業ポートフォリオに加えるということは、消費者のオンライン生活の欠かせない要素になるという、より大きな目標にも上手く合致する。
Naverによると、現在の同社の自動運転テクノロジーはレベル3にあたり、まだ車が必要だと判断したときには人間のドライバーが運転を交代する必要があるが、ドライバーが実際にリラックスして全く注意を払わなくてすむレベル4に向けて改良が重ねられている。自動運転車に関連した事業は、新しくNaverの傘下に設立される会社が引き継ぎ、AIやロボットの事業もこの会社が受け持つことになる予定だ。さらにNaverはこれらの事業に4億2500万ドルを投じるとコミットしている。
自動運転テクノロジーの分野に参入している他のテック企業のように、Naverはさまざまな企業とのパートナシップを通して、この事業を加速させたいと考えている。しかし自動運転テクノロジーの製品化計画に関する時期や詳細については、まだ明かされていない。一方Naverの競合にあたるAlphabet傘下のWaymoは、FCAなど大手自動車メーカーとのパートナーシップを通じて、既に製品化に向けた準備を着々と進めている。
韓国政府は既に、自動車メーカーや研究組織あわせて10団体に公道での自動運転車のテストを許可しており、最終許可が下りればNaverは11番目となる。そして現段階ではそうなる可能性が高い。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)