Netflixは、今月初めのグローバルな拡張と、その後の、供用区域内でライセンスされていないコンテンツにVPNソフトウェアを使ってアクセスしている顧客は取り締まる、という宣言に続き、実際にVPNサービスを使っているユーザの一部をブロックし始めた。メルボルンのVPNプロバイダuFlixによると、同社のアンブロッカーサービスを利用してオーストラリア以外のコンテンツをストリームしようとした一部のユーザには、エラーメッセージが表示されるようになった。
それは、こんなメッセージだ:
“You seem to be using an unblocker or proxy. Please turn off any of these services and try again.”
[あなたはアンブロッカーまたはプロキシを使っているようです。これらのサービスをすべて切ってから再度お試しください。]
uFlixのユーザ宛てメッセージによると、何も問題なかった顧客もいる。しかし同社は、それもいずれ変わるだろう、と述べている。“現時点では一部のユーザだけが影響を受けているようですが、その数は今後増えると思います”、だそうだ。
VPNをブロックするというNetflixの声明は見せかけだ、という説も多い。Netflixのサービスには、コンテンツのライセンスの地理的制限を強制する仕組みがないので、それを心配するコンテンツ権利者を、なだめるための演技だ、と。
Netflixはサービス供用域を130か国増やし、全世界で計190か国になった。それとともに、VPNを利用して自分の国では見られないコンテンツを見ようとするユーザも増えるだろう。
さらに、ラスベガスで行われた今年のCESでNetflixのチーフプロダクトオフィサー(CPO)のNeil Huntは、“業界の標準技術を使ってプロキシの利用を制限している”が、VPNプロバイダを追跡することは“徒労な追いかけっこゲームだ”、と述べた。
彼は、プロバイダがNetflixのブロックをかいくぐるのは比較的容易だ、とさえ言った。
そのときHuntは、“その道の専門企業がメンテナンスしているVPN出口のブラックリストを利用している。しかし、そのブラックリストに載っているVPNプロバイダがIPアドレスを変えて網をかいくぐるのは簡単だ”、と述べた。
その後Netflixは、これらの声明を訂正しようと試みた。さらに同社のブログ記事で、“数週間後”に、アンブロッカーとプロキシの利用の取締りを開始する、と漠然とした言い方で述べた。
そのブログ記事は、Netflixのコンテンツデリバリアーキテクチャ担当VP David Fullagarが書いたもので、“…プロキシやアンブロッカーを使っているユーザは、自分が今いる国のサービスにしかアクセスできない。プロキシを使っていない会員にこの対策の影響が及ばないことは、確実である”、と言っている。
しかし今日(米国時間1/22)現在では、uFlixをブロックしようとするNetflixの試みも、空しい結果に終わりそうだ。このVPNプロバイダによると、同社は今、“これらの新しい対策を迂回するための”ソリューションに取り組んでおり、それは数日後に可利用になるそうだ。
実際には、同社のツイートによると、迂回策を作ったのは1月の20日らしい。それは、問題をユーザに報告した翌日だが、2〜3手を加えてから公開する、と言っている。
Hi everyone! The new fix is in place. Please test it out. If anyone gets proxy/vpn error issues, please submit a ticket immediately. Thanks!
— uFlix (@uFlixDNS) January 21, 2016
Netflixは今後もVPN利用の取締りに真剣に取り組むと思われるが、結果的にそれは、もぐらたたきゲームに終始するのではないか。NetflixがuFlixのようなサービスを一時的に妨害しても、専業のプロキシプロバイダたちはすぐに、逃げ道を見つけるのだ。