NetlifyがQuirrelを買収、サーバーレスファンクションの管理をプラットフォームのメニューに

Netlifyは多くの点で資金状態も良好で、以前はJamstack運動を始めた企業でもあるが、米国時間2月1日はQuirrelを買収したことを発表した。ここはサーバーレスのファンクションを管理し実行するオープンソースのサービスだ。

Quirrelの創業者であるSimon Knott(サイモン・ノット)氏は、広く使われているReactフレームワークBlitz.jsのメンテナーでもあるが、この買収の前にQuirrelは一度も外部資金を調達していない。Netlifyの投資家の1人がQuirrelを紹介し、そのあと、2021年の半ばに秘かに買収が行われた、とNetlifyのCEOであるMatt Biilmann(マット・ビルマン)氏がいう。

かなりの額を調達しているNetlifyが、買収によって成長を加速しプロダクトを拡張することは、目下のところ当然だろう。数年前にはNetlifyはまだJamstackのコンセプトをいちいち説明しなければならなかったが、現在ではいろいろな競合他社が存在し、中でもVercelは11月に1億5000万ドル(約171億5000万円)のシリーズDを発表、その前の6月には1億200万ドル(約116億6000万円)のシリーズCを発表している。

これはNetlifyにとって3度目の買収だ。最初は同社はY Combinatorが支援する、デベロッパーコラボレーションサービスFeaturePeekを5月に買収した。11月には、これまたY Combinator卒のGraphQLスペシャリストOneGraphを買収。その少し前にNetlifyは、1億500万ドル(約120億1000万円)のシリーズDを発表している。

画像クレジット:Netlify

「私たちがどこにいたいのか、どこへ行きたいのかは非常にはっきりしている。だからもちろんその、ウェブはこうあるべきだという私たちの目的意識に合致したとてもクールで小さなスタートアップを見つけたときには、うれしい。それらの一部は、提携して一緒に仕事をするほうがいいだろう。あるいは今回のように、一緒になってしまう方が良いケースもある」とビルマン氏はいう。

買収後もオープンソースプロジェクトはQuirrelという名称のままだが、Netlifyはすでに、その背後にあるアイデアの多くを自分のプラットフォームに統合する作業を開始している。同社がそのサーバーレスのプラットフォームをローンチしたのは2018年だ。その後、同社のサービスの中核的な機能になったが、しかしファンクションとバックグラウンドのタスクを一定のスケジュールで実行するためのスケジューリングは、Netlifyのデベロッパーたちにとってやや難題だった。

画像クレジット:Netlify

「デベロッパーが実現したい目的にとって、そうした種類のジョブはとても重要です。Quirrelのサイモンはそれを、大量の構成や古めかしいcronジョブのリストにしないやり方を見つけた。彼にはそれが、普通にコードを書くような感覚でできるのです」とビルマン氏は説明する。

しかしNetlifyとQuirrelとではスケールが違うため、デベロッパー体験をQuirrelの本来のビジョンに合わせるために、インフラストラクチャの多くを再構築しなければならない。ビルマン氏はそれを、第一原理から行うと説明する。同社のスケールが違うからではなく、Netlifyの哲学として、そのサービスの中核的な抽象化は特定のプラットフォームに依存していてはならないからだ。Quirrelの場合は、Blitz.jsが特定のプラットフォームだろう。

Quirrelのユーザー体験に基づくNetlifyの新しいスケジューリング機能は、Netlify Labsから無料で利用できる。Labsは、同社が新しい機能のベータテストをする場所だ。ということは、機能の一部が今後変わるかもしれないし、課金の方針も決まるだろう。でも今のところは、デベロッパーたちがこのサービスをどのように使うかを見て、プロダクトを調整していきたいのだ。

画像クレジット:Yuichiro Chino/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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