NewsPicksはキュレーションメディアではない–独自コンテンツの配信など新戦略を発表

注目の集まるニュースをキュレーションして閲覧できるスマホ向けのニュースアプリは増えるばかり。だが「NewsPicks」を手がけるユーザベースは、競合と言われるサービスとはまったく別の方向を進むのだという。同社は9月19日、NewsPicksのビジネスに関する説明会を開催。今後の展開を語った。

NewsPicksは経済ニュースに特化したニュースアプリだ。ユーザーは提携メディアなどが配信する記事を閲覧するだけででなく、自らPicker(記事をピックアップしたユーザー)として気になった記事をピックアップしたり、自らの意見やコメントを投稿したりできる。ユーザベース共同代表創業者の梅田氏は「当初想定していなかった」そうだが、ピックアップされた記事にその記事の当事者がコメントをつけたり、ピックアップされた記事を書いたメディアの記者が記事の補足をしたりするといった使い方もされているという。

ユーザベース代表取締役共同経営者の梅田優祐氏

サービスを公開してから約1年でダウンロード数は21万件。「Gunosy」や「SmartNews」といったニュースアプリはダウンロード数400万件、450万件といった数字をうたっているので、単純に数字で見ると非常に小さく感じる。

だが、ユーザーは20〜40代、それも意思決定者が中心となっており、マスをターゲットにしたGunosyやSmartNewsとはターゲットとする属性が違うサービスであることが伺える。デイリーの滞在時間は平均11分、ピックアップやコメントをするようなヘビーユーザーになると40分になるのだという。ピックアップされた記事は、平均でFacebookで600件、Twitterで2000件程度共有されるという。実はTechCrunchのリファラーを見ても、最近ではNewsPicksをはじめとしたニュースアプリからの流入は少なくない。

今後は独自記事を配信。ブランド広告も展開

発表会では、そんなNewsPicksがこれから展開するコンテンツとマネタイズに関する説明が行われた。

ユーザベースでは7月、東洋経済オンラインの編集長であった佐々木紀彦氏をNewsPicksの編集長として招聘。自社で編集部を立ち上げて独自コンテンツを提供するとしていた。佐々木氏は、SmartNewsやGunosyを例に挙げ「(NewsPicksが)キュレーションメディアのひとつとして見られるが、特徴が違う」と語る。

佐々木氏はここで、マス向けなのか専門性が高いのか、コンテンツを人力で作るかアルゴリズムで作るかという2つの軸でニュースサービスを分類したスライドを紹介した。例えばSmartNewsやGunosyはアルゴリズムを使ってマス向けのコンテンツを発信している。またヤフーが提供するYahoo!ニュースであれば、アルゴリズムではなく人力でマス向けにコンテンツを発信している。グライダーアソシエイツが提供する「Antenna」はアルゴリズムと人力を組み合わせて専門性の高いコンテンツを発信している。ではNewsPicksはどういう立ち位置になるかというと、経済情報に特化し、専門性の高いコンテンツを人力で作っていくのだという。

ユーザベース執行役員でNewsPicks編集長を務める佐々木紀彦氏

NewsPicksでは、(1)オリジナルの連載記事、(2)インフォグラフィックス、(3)Pickerとのコラボレーション(話題になった記事やテーマの深掘り)、(4)アナリストとのコラボレーション(ユーザベースの提供する法人向けサービス「SPEEDA」向けのアナリストによるコンテンツ、(5)グローバルキュレーション(NewYork Timesなど海外経済ニュースとの連携)——の5種類の独自コンテンツを提供する。これは月額1500円の有料プランユーザー向けに提供されることになる。有料プランではこのほか、提携するメディアのコンテンツを閲覧したり(これは以前から提供していたもの)、検索機能を利用したりできようになる。また年1回開催予定のイベントへの優先参加権なども提供する。

マネタイズについては、(1)テレビ番組のように、特定カテゴリのチャネルについて広告主がスポンサーシップをする「ブランドカテゴリー」、(2)特定の連載に限定してスポンサーシップをする「ブランドストーリー」、(3)広告主がチャネルを持ち、オウンドメディアや自社に関する情報を発信できる「ブランドアカウント」——の3種類のブランド広告を展開する。すでにIBM、サイボウズ、リクルートが広告主として決定している。

NewsPicksでは以前から月額1500円でビジネス系週刊誌などの有料コンテンツを提供してきたが、今後はそこに独自コンテンツが加わることになる。梅田氏は、「編集部を作って分かったが、いいコンテンツを作るにはお金がかかる。これを継続するのが重要。どうすれば1500円の価値を認めて頂けるかを考えていく。そのために機能やイベントをトータルに提供していく」と語った。

ユーザベースでは、中期目標として3年で日本を代表する経済メディアにし、編集部を100人体制まで拡大。さらに英語での海外進出を視野に入れるとしている。また、来年度の黒字化を目指すそうだ。

 


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。