OnePlusの共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ)氏はここ数ヶ月の間に、彼の「Nothing」というコンセプトを、最近の記憶ではもっともバズっているハードウェア企業の一つへと変えてのけた。これは、どんな製品を提供していくかについての情報がほぼゼロに近かった企業にとって、離れ業と言うしかない。同社は先月、GVが主導した1500万ドル(約16億円)のシリーズAを含む約2200万ドル(約24億円)の資金を調達している。
Nothingは先日、最初の製品となるワイヤレスイヤホンをこの夏にリリースすると発表した。自称「境界破り」のスタートアップにとっては、馴染みのある飽和状態のカテゴリーだ。もちろん、2014年のOnePlus Oneの発売前には、多くの人々がスマートフォンについて同じことを言ったが、そちらの事業はかなりうまくいっているように見える。
It all starts with design, the soul of a product: https://t.co/n2lPLdCAP4 pic.twitter.com/i9YbsNUuJN
— Carl Pei (@getpeid) March 9, 2021
米国時間3月9日のブログ記事の中で、ペイ氏はNothingの理念をもう少し詳しく説明するとともに、まもなく発表される同社の最初の製品の先駆け、「Concept 1」に触れた(next to Nothing、なきに等しい、と呼ぶべきか)。このエントリーでは、Apple(アップル)のように大げさな言葉遣いで同社の計画が概説されているが、突き詰めていくとペイ氏は、ある意味クパチーノへのアンチテーゼのようなアプローチを示している。
この製品は半透明のデザインで、「スクリーンも専用デバイスもなく、ほとんど目立たないさりげない技術で、より人間らしく生きる力を与えてくれる」というアプローチで作られているという。スクリーンなし、という部分を信じるとすれば、同社はEssential IPを買収したにもかかわらず、Nothingが近々スマートフォンを発売する予定はないようだ。
もう一つ面白いパズルのピースは、身近なものからのインスピレーションだ。「Concept 1は、祖母のたばこパイプからインスピレーションを得ています」とのこと。 同社は2月下旬にスウェーデンのTeenage Engineering(ティーンエイジ・エンジニアリング)との提携を発表しており、同デザインハウスのCEOであるJesper Kouthoofd(ジェスパー・クースフッド)氏がNorhingのデザインリーダーとなっている。
Nothingが、リリース前のハイプサイクルを最大限に活用したことは評価されるべきだろう。いくつかの堅実な資金調達と、ペイ氏がOnePlus時代に築き上げた多くのファンの善意の間で、同社の最初のリリースは、今年もっとも待ち望まれているハードウェア発表の一つになりそうだ。ワイヤレスイヤホンで、これはなかなかの快挙といえる。
カテゴリー:ハードウェア
タグ:イヤフォン
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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)