Oracleのイベントでラリー・エリソンが自律DB発表――AWSをからかう

Oracleはクラウド化の波に大きく取り残されており、ラリー・エリソン会長はそのことをよく知っている。そこでエリソンはあらゆる機会をとらえて最大のライバル、AWSに嫌味を言うことにしている。昨夜のOracle OpenWorldイベントのキーノートに登場したときも例外ではなかった。エリソンは自律的にチューニングを行う新しいデータベース・システムを紹介したが、同時にAWSを批判するという誘惑に勝てなかった。

今回発表されたスマート・データベースはテクノロジー的にみてクールなプロダクトに思える。エリソンとしては数分も割いてライバルについて論ずるより、自分たちの新しいデータベースの説明に集中したほうが効果的だったのではないか? このデータベースは、完全に自律的に作動するという。つまりチューニング、プロビジョニングを自ら実行できる。エリソンはこれを自分の自家用ジェット機の自動パイロットにたとえた(イベントの聴衆に自家用ジェットの所有者がどのくらいいたか知らないが)。つまり「今後はパイロットのエラーという事態は起きない。パイロットは乗っていないからだ。このデータベースではアドミニストレーションは完全に自動化されている」とエリソンはキーノートで述べた。

それに加えて、このデータベースには自己修復能力がある。なんらかの理由でデータベースの一部が壊れた場合、データベースは自らその部分を修復して運用を続ける。この能力があるため、Oracleは稼働率として99.995%を保証するという。エリソンはこれを「1年の作動あたり、計画的、突発的合わせて30分のダウンタイム」にすぎないと大胆に宣言した。

またエリソンは契約書にうたわれる4ナイン(99.99%)、5ナイン(99.999%)といった数字は「実質的にウソだ」と述べた。なぜならこの数字は通例ソフトウェアのバグ、セキュリティー・パッチのインストール、構成の変更などにともなうダウンタイムを除外してしているからだという。しかしOracleの新しいデータベースがいかにしてこうしたダウンタイムを一切排除できるのかについてエリソンは詳しく述べなかった。大規模なDDoS攻撃、最近アメリカを襲ったような猛烈なハリケーン、雷、それどころか単なるヒューマン・エラーも大規模なシステム障害を起こすことが知られている(昨年AWSに起きた障害がよい例だ)。

ともあれ、エリソンは何分か使ってAmazonのRedShiftを批判した。クラウドコンピューティングは非常に複雑なビジネスだが、赤丸付き急上昇でチャートのトップに立ったのはもちろAWSだ。一部の推定によればAWSのシェアはクラウドコンピューティング市場の40%を占めているという。2位のMicrosoft Azureは10%で、他はOracleも含めてこのトップ2社に遠く及ばない。

新しい自律的データベース・サービスは(18cというおよそ想像力を欠いた名称だが)、現在のOracleの強みを生かしながらクラウドでAmazonと戦おうとする試みだ。AWSはクラウド・ビジネスで何年も早くスタートを切り、巨大なシェアを誇っている。しかしOracleはデータベースを隅々まで知っており、これはクラウドに移行してもAWSより優位に立てる点のはずだ。

今回のイベントでのエリソンの発表は注目すべきものだったが、「プディングの良し悪しは食べてみるまでわからない」ということわざもある。このデータベースの能力も実際に運用されてみて初めて判明するだろう。Oracleによれば、新データベースは今年中に利用可能となるという。

画像:: Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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