身売りが噂される中、Pandoraは2015年Q4の決算報告を発表した。リスナー数8110万人はQ3の7810万人からは伸びているものの、1年前の8150万人より減っている。Pandoraの売上は3.36億ドル、1株当たり利益は0.04ドルだった。アナリスト予測は売上3.32億ドル、EPS 0.07ドルだった。Q4のリスニング時間は53.7億時間で、前期比4.5%、前年同期比3%のアップだった。
今日(米国時間2/11)New York Timesは、同社が自社を売却する可能性を報じ、株価は取引時間内に最大10%急騰した。しかし、時間外取引では10%下落し、決算発表後に再び取り戻し、5%前後安値となっているが、それでも始値を上回っている。
売上の対前年比25%アップは悪くないが、同社は当時は1.69億ドル、Q4には1940万ドルの損失を出している。ロイヤルティー支払い後にこの出費をカバーできるだけの現金は残らない。2016年へのガイダンスは、売上が14.0~14.2億ドル、調整後EBITDA損失予測は6000~8000万ドルだった。
Pandoraのビジネスは厳しい挑戦だ。広告支援ラジオと定期購読を組み合わせて運用されている事業は、Apple Music等の巨大勢力との戦いが厳しさを増している。Appleの購読者ベースサービスは、契約者が1000万人を越えたと報じられている ― そしてiPhoneに直接組み込まれているこという事実が後押しし、Pandoraに対する優位性となっている。
そしてSpotifyは、異なるビジネスモデルを採用しているが、急速にPandoraに追りつつあり、同じくアルゴリズムベースのラジオサービスも提供している。Pandoraの事業は、当初革命的だったが、他の主要プレーヤーと競争するうちに、徐々に日常化してきた。
昨年11月、Pandoraは倒産したRdioの資産を買い取ることに同意した。今日の決算会見で同社は、ラジオリスナーの10%を、同社がRdioの資産を利用しようと考えているオンデマンドストリーミングサービスに移行させたいと話した。
PandoraはQ4の始めに、コンサートチケット販売のTicketflyを4.5億ドルで買収してビジネスの活性化を目指した。Pandoraは膨大なリスナーと十分な広告スペースを持っており、必要なのは購入を説得することだけだ。もしリスナーとお気に入りアーティストのコンサートチケットを結びつけて、アプリ内で買わせることができれば、売上は大幅に伸びるだろう。Ticketflyは四半期後半の2ヵ月間に1020万ドルの売上をもたらした。
Pandora株がおかしくなったのはこれが初めてではない。著作権委員会が、Pandoraはアーティストにロイヤルティーをいくら払うべきかを決定した時 ― 非購読者の再生100曲につき17セント ― 株価は22%急騰した。有料購読者向けは再生100曲あたり22セントで、同社にとってはわずかに有利となっただけだが、投資家は最悪のシナリオに備えていたのだろう。
つまるところ、ストリーミング事業は苛酷だ。レコード社と著作権者は高いロイヤルティーを要求し、経費を差し引くと利益は殆ど残らない。Spotifyは多額の資金調達をしなければならず、GoogleとAppleはそれぞれの実入りの良い事業で得た現金を注ぎ込んだ。
Pandoraは、TicketFlyを巨大な収益源に変える必要があり、さもなければ他に収益源を持つ大きな会社の傘下に入って安定するべきかもしれない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)