PayPalの第3四半期決算は消費者のフィンテック利用増を反映

予想を上回る第3四半期決算を発表した後、PayPal(ペイパル)の株価は時間外取引で下げた。なぜ下落したのかはいまのところはっきりしないが、個人投資家がアナリストの予想以上に期待していたからかもしれない。

投資家を喜ばせることはできなかったにもかかわらず、これまで同様、決算の中に幅広いフィンテック業界の強みを見出すことはできる。

PayPalの第3四半期の売上高は54億6000万ドル(約5700億円)、調整後1株あたり利益は1.07ドル(約111円)と、いずれもアナリストの予想を上回った。アナリスト予想は売上高54億3000万ドル(約5678億円)、1株あたり利益0.94ドル(約98円)だった。

PayPalの収支はさておき、決算ではフィンテック関連のデータが詳細に示された。ここには、パンデミック中に消費者のフィンテック商品の利用増加が続いていることを示す結果も含まれている。例えばPayPalは、決済ボリュームの成長ペースがこれまでで最大となったとした。

数字を示すと、PayPalは2470億ドル(約26兆円)を処理し、この数字は前年同期比38%増だ。決済件数は40億件で、こちらは前年同期比30%増だった。消費者決済・事業決算のボリュームを増やしたいスタートアップにとってはいいニュースだ。マーケットは急成長している。

PayPalはまた、第2四半期決算時に20%台後半としていた年間の決済ボリュームの成長率を、第3四半期末時点で「約30%」に上げたが、これもフィンテックにとっていいニュースだ。

PayPalが明らかにした他の数字も同様に強気だ。例えばVenmo決済額は前年同期比61%増の440億ドル(約4兆6000億円)だった。第2四半期時の同52%増からアップしている。

最後に、PayPalの「直近12カ月ベースでのアクティブ口座あたりの決済数」は第2四半期に39.2から40.1に成長した。2020年初めにクローズしたHoney(ハニー)買収を含めると、数字は41.7に上がる。

今回の決算は、活発なeコマースと消費者のフィンテックに対する意欲を意味する。

PayPalの新しいVenmoクレジットカード、そして最近のビットコイン価格上昇につながった仮想通貨についての取り組みについていうのはまだ早い。しかしPayPalの決算というレンズを通して見える、フィンテックに親しんでいるコアな消費者は強気だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPal決算発表

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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