Pindropとの連携でデジタルレコーダーのTiVoに音声認識機能が帰ってくる

TiVoのデバイスに新しい音声認識機能が搭載される。これはアトランタを拠点とするスタートアップで、コンシューマデバイス用の音声認識とパーソナライズ技術を提供するようになったPindropとの連携によるものだ。

TiVoは以前にAlexaの音声認識サービスを使用していたが、2020年にひっそりと廃止されていた。新しい音声認識機能がAlexaに代わって搭載されることになる。

TiVoは2年ほど前にはAlexaの統合に相当な力を入れていた。Pindropのサービスへの切り替えは、音声対応サービスには堅調な市場があり、Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)の本拠地で戦うためにさまざまな市場からプロバイダーが参入していることを示している。

Pindropのサービスが統合されることで、TiVoの所有者は音声で番組の検索やデバイスのコントロールができるようになる。しかしPindropの技術はもともと金融サービス企業や大企業向けに不正防止技術として開発されたもので、基本的な音声認識にはとどまらない。

Pindropの技術で話者の違いを判別できるので、シンプルな音声コマンドで各ユーザーのNetflixやAmazonなどのアカウントを呼び出し、それぞれが観る番組をパーソナライズすることができる。

TiVoで製品&会話サービス担当シニアディレクターを務めるJon Heim(ジョン・ハイム)氏は「話した内容を理解するだけでなく、状況を理解しその場に応じてインテリジェントに動作するようにしたいと考えています。音声によって家族それぞれを識別する機能はこの状況認識の一例で、一人ひとりに合わせたエクスペリエンスによってこれまでになかったレベルのパーソナライズを実現します」と述べた。

これはクールだ。

誰かが「おすすめの番組は?」と言ったときに、TiVoのデバイスはその人が観たくなりそうなコンテンツを紹介できるようになる。別の家族が同じコマンドをいうと、デバイスには別の結果が表示される。

この技術の利用にはユーザーの許可が必要で、Pindropの技術は話者の違いは認識するが話者の身元は匿名化される。

Pindropの共同創業者でCEOのVijay Balasubramanian(ビジェイ・バラスブラマニアン)氏によると、同社はすでに米国の銀行の上位10行のうち8行にサービスを提供しているという。そしてTiVoとの連携によりコンシューマデバイスに乗り出したところだ。

Pindropは、AndroidデバイスのホワイトラベルメーカーであるSEI Roboticsのデバイスとも統合されている。

Pindropはコンシューマデバイスの世界へ進出するための資金として十分な現金を銀行に保有している。同社の収益性は高く、バラスブラマニアン氏によれば年間ランレートは1億ドル(約104億円)ほどだという。

同社は今後、音声サービスを自動車やネットワークに接続されたコンシューマデバイスに展開していく意向だとバラスブラマニアン氏は述べている。

「(我々は)自動車向けのOEMに取り組んでいます。現在は概念実証の段階です」と同氏は語った。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TiVoPindrop音声認識

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。