Product Huntが通知がうるさくないテックニュースダイジェストアプリSipをリリース

「私たちは注意をひこうとうるさく通知するアプリケーションを増やそうと思ったわけではありません」と、Product HuntのCEOであるRyan Hooverは語る。ということで、新しいニュースや通知を垂れ流し続けるのではなく、本日(米国時間2月22日)Product Huntは、iOSAndroid向けにハイテク業界ニュースレターアプリSipをリリースした。Sipは、その日の目立ったニュースをTwitterのモーメント風のスライドショーにまとめて、(米国東部標準時の)午後5時に静かに配布する。

説明、解説ツイート、ニュースソースへのリンク、Product Huntのページ、そして世論調査などを束ねて、Sipは長々とした記事の代わりにひとくちサイズの情報を提供するものだ。例えば2018年の最もイノベーティブな企業の記事や、イーロン・マスクが火炎放射器を売ったこと、あるいはUberの新しいバスキラーといったニュースを、Sipを通して知ることができる。

「私たちの最終目標は、Product Huntがアピールしそうなのにまだ使って貰えていない人たちに対して、毎日チェックしたくなるような体験を提供することです」とHooverは説明する。これは2016年にAngelListに2000万ドルで買収された同スタートアップの、収益ドライバーというよりは、基本的にユーザー拡大の仕掛けである。「今年の初めにコミュニティで発表したように、私たちは収益性の強化を目指しています。様々な取り組みを通じて大きな進歩を遂げることができましたが、今のところSipはその一つではありません。私たちはユーザーベースの拡大に集中しているので、Sipを短期間のうちにマネタイズする計画はないのです」。

Facebookが意図的にフィード上に流れてくるニュースの量を減らし、Twitterはボットとトロールで溢れかえり、Google Readerがなくなってしまった今、人びとは世界のニュースに追いつくための、より良い方法を必要としている。HooverはProduct Huntを、まず第一にコミュニティでありながら「常にニュースを配信する役割も果たす」Redditのようなものとして捉えている。

よって、ここに更に力を入れることで、新しい利用者層を獲得することができるだろう。現時点では、最新のペータテスト、ハッカソンプロジェクト、Chrome拡張そして新規スタートアップを知るために、皆が皆このサイトに引き寄せられているわけではない。しかし、ハイテク業界の巨人たちや、ソーシャルメディア、そして最もホットな最新のアプリに関するトップニュースの数々は、多くの人たちにとって必読のものになっている。Sipは、Product HuntページのQ&Aを通してニュースを掘り起こすよりも、ユーザーを呼び込むことのできるゲートウェイになる可能性がある。

「Sipは実験です」とHooverは私に語る。「このアプリは私たちのチームのChadがデザインして作成したもので、Product Hunt todayに必ずしも掲載される必要のない、様々なタイプのコンテンツとストーリーを、目にするチャンスを提供してくれます」既に3000人がSipのベータ版にサインアップしている。このアプリは、伝統的なテックサイトとその電子メール、Twitterや他のソーシャルアプリからのコンスタントな流れ、Ha​​cker Noonのような様々なニュースレター、そしてFeedlyやFlipboardのようなリーダーアプリと競争しなければならない。しかしSipは、ニュースをひとくち大のサイズにすることで、差別化をしている。

Produnt Huntは、より若く気まぐれな技術者たちを、利用者の中核に引きつける方法を探し続ける必要がある。2013年にニュースレターとして始まったこのスタートアップが、最も話題になったのは2014年と、2015年にAndreessen主導のラウンドで700万ドルを調達し、Y Combinatorに受け入れらたときだった。同社がサンフランシスコで開催したパーティは伝説となった、その時は1000人以上の人びとが店の周りのブロックを取り巻いたからだ。

TechCrunch Disrupt SF 2014に登壇したProduct Hunt CEOのRyan Hoover(左)

何年もの間、そのサイトで毎日新製品の大衆人気ランキングを掲載し続けてきたが、AngelListがProduct Huntを買収して以来、疲労が入り込んできたようだ。よく整理されてはいるものの、権威あるテクノロジー業界の大人たちが関わることによって、Product Huntはそのクールさの一部を失った。昨年は、スタートアップたちが自社の製品をリリースすることを助けるShipを立ち上げ、Ask Product Huntというレコメンデーション機能も発表した。Hoover自身も彼自身による300万ドルのエンジェルファンドであるWeekend Fundを設立した。しかし、Product Huntの輝きは衰えている。これまでよりさらに華やかな場所で開催されたものの、この冬のProduct Huntパーティーではドアの外に続く列を見ることはなかった。彼らは招待状有無のチェックさえしていなかった。

次世代のProduct Huntユーザーたちは、携帯電話が身近な存在であるため、絶え間ない通知によって喜んだりはしないだろう。その代わりに、流れを断ち切らない、より注意深い技術の利用に重きを置くように見える。Sipはそうした人たちにアピールすることができる。「私の電話は通知のせいでしばしば温かくなるのです」とHooverは言う。「多くのアプリ作者は、1日を通して数多くのプッシュ通知や歓迎されていないテキストメッセージでユーザーたちを圧倒しています。私たちはこの混乱にSipを加えたいとは思っていません」。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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