数年前にRed Hatは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の成功に永遠に依存することはできない、と明言した。そして同社は、求めていた変化への道を、OpenStackとハイブリッドクラウドに見出した。
今日(米国時間4/20)同社は、そのクラウド企業への転身というビジョンを、OpenStack Platform 8とRed Hat Cloud Suiteのリリースによりさらに前進させた。RHELは今でも同社の主力製品だが、同社のクラウドへの移行は固い決意と目的意識に貫かれている。
今回のRed Hatの発表は、オースチンで行われる今年のOpenStack Summitに合わせたかのように、その開会の1週間前に行われた。
OpenStack製品は、昨年リリースされたOpenStack Libertyがベースだ(最新バージョンのMitakaは、発表されたばかり)。Red HatのOpenStack Platformはリリースが新しくなるたびに改良が進んでいるが、今回の8では、複雑なシステムの頭痛のたねである管理性が向上し、またストレージとネットワーキングとコンピュートまわりのアップグレードが行われた。Red Hatが主要市場としてねらいを定めている通信企業や、Open
Stackへの移行を検討していて大きなネットワーキングを運用している大企業向けの、改良も行われている。
Cloud Suiteは、クラウドとDevOpsとコンテナ関連のツールセットで、このようなスイートに期待される、ツール集合でありながら単一のソリューションのように使える管理レイヤだ。それはRed Hat OpenStackにコンテナ環境OpenShiftと、プライベートクラウドをセルフサービス的にセットアップし管理するCloudFormsを組み合わせている。一種の統合化パッケージだが、これらのツールを個別に導入して、他社製品と併用することもできる。
企業は今、レガシーシステムを抱えながら、徐々にクラウドへ移行しつつある。Red Hatは、一方にRHELを置き、他方にOpenStackを置くことによって、両者の橋渡しを提供したいと考えている。多くの点で、Red Hat自身の昨今の変化が、そのまま顧客の変化の姿でもある。しかもそれは、必然的に起きていることだ。
Red Hat Cloud Infrastructureのプロダクト担当James Labockiは、こう説明する: “多くの顧客が既存のインフラストラクチャとアプリケーションを抱えている。弊社はその両方をRHELで支えているが、Red Hatのクラウドインフラストラクチャツールを使えば、弊社が提供するコントロールパネルと管理ツールによりそのインフラストラクチャを最適化して、より効率的に動かせるようになる”。
そういう、既存のインフラを生かしつつの移行は、うまく行ってるようだ。Red Hatは昨年、オープンソース企業としては初めての20億ドル企業になったが、最新の(3月の)決算発表では四半期売上が5億4400万ドルとなり、前年同期比17%の成長を見せた。まだ、売上の大半はRHELだが、クラウド部門も利益が出始めている。数字には、反論できないね。
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