Salesforceは、セールス人員が見込み顧客や案件のクロージングを管理するためのクラウドベース・ソフトウェアとして名を上げた企業だ。同社は本日、セールスのビジネスそのものに足を踏み入れたことを発表した。本日、SalesforceはDemandwareを28億ドルで買収すると発表した。Demandwareは中小から大手企業にまで、クラウドベースのEコマースサービスを提供している。この買収で、Salesforceは新しい事業部門「Salesforce Commerce Cloud」を立ち上げる。
Demandwareは2012年に上場し、SalesforceはキャッシュでDemadwareの全ての発行済株式を1株あたり75ドルで買い取ると発表した。これはDemandwareの現在の評価額を考えると大幅なプレミアムがついている。昨日の大引け後の評価額は18億7000万ドルだった。買収は、SalesforceのQ2内、2016年7月31日頃までに完了する予定だという。
「Demandwareは素晴らしい企業です。数百億ドルのデジタルコマース市場で世界的なクラウドサービスのリーダーです」とSalesforceの会長でCEOのMarc Benioffは声明で伝える。「Demandwareと共にSalesforceは、Customer Success Platformの一部として未来のコマースを実現し、新たに数十億ドル規模のクラウドビジネスを構築していきます」。
Demandwareのもう一つ素晴らしい点は、その出世具合だろう。Demandwareはまだスタートアップだった頃、主に3社の投資家から、たった5400万ドルしか調達していない。前四半期の収益も謙虚なものだ。4月末の決算報告によると前四半期の売上はわずか6700万ドルで、純損失が1200万ドル弱だった。しかし売上は伸びていて、損失も縮小し続けている。
「DemandwareとSalesorceは共通してカスタマーの成功にフォーカスし、熱意があります」とDemandwareのCEOであるTom Eblingも声明で伝える。「私たちの最も革新的なデジタルコマースのソリューションで、ブランドがいかなるチャネルからでもカスタマーと1対1で接することを可能にします。Salesforceに参加することで、世界の優秀なブランドを支援するという私たちのビジョンに向かって邁進することができます」。
これは、Salesforceにとって大きな買収であるのには、金額面以外にもいくつか理由がある。
一つは、この買収によりSalesforceは自社の「ファネル」を成長させることができる。つまり、既存カスタマーとの契約関係を拡張する手立てとなる(Marketing CloudやCRMのカスタマーには、コマースサービスを含むより広範なプランにアップセルすることが可能になる)。
他にもSalesforceはこれまで提供していたマーケティング、オンライン・アナリティクス、営業向けバックオフィス・ソフトウェアなどのサービスをアップセルすることのできる新しいカスタマーグループを獲得することになる。Demandwareのカスタマーには、Design Within Reach、Lands’ End、L’Oreal、Marks & Spencerなどがいるとしている。
さらに興味深いことは、SalesforceがShopify、Amazon、eBayとeBayが以前手がけていたMagentoといった企業と競合することだ。これらの企業はサードパーティー企業にコマースソフトウェアを提供するだけでなく、数社(特にAmazonとeBay)は売買取引の筆頭プラットフォームになるために競っている。
Eコマースは巨大な市場で、人々が初めてウェブを使用し始めた時からトラクションを生み、巨大ビジネスへと成長した分野の一つだ。現在も、ウェブ上でお金を使うという習慣が普及するほどに成長し、ユーザーにオムニチャネルならぬ「オムニコマース」体験を提供している。Eコマースはますます身近なものになっている。
Gartnerは、デジタルコマースのプラットフォームでの世界的な利用額は年間で14%成長することが見込まれおり、2020年には85億4400万ドルに届くと予想している。この数値はSalesforceが出しているものだ。
Salesforceは新しいCommerce Cloudについて「SalesforceのCustomer Success Platformに必要不可欠な部分となり、企業がカスタマーと全く新しい方法でつながることができるようになります。Salesforceのカスタマーは業界を牽引するクラウドコマースのプラットフォームにアクセスすることができます。そして、DemandwareのカスタマーもSalesforceの見込み販売管理、サービス、マーケティング、コミュニティー、アナリティクス、IoTとプラットフォームソリューションを活用し、包括的でパーソナライズしたカスタマー体験を提供することができるようになります」と伝えている。
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