Salesforce(セールスフォース)が人気の職場チャットSlack(スラック)の買収に関心を持っている(The Wall Street Journal記事)というニュースを受けて、Slackの株価は米国時間11月25日に急騰した。
Yahoo Financeのデータによると、Slackの株価は25%近く上昇している。この記事執筆時点でSlackの株価は36.95ドル(約3860円)で、企業価値は約208億ドル(約2兆2000億円)だ。有名な元ユニコーン企業である同社の2019年の株価は最低が15.10ドル(約1580円)、最高が40.07ドル(約4200円)だった。
逆に、Salesforceの株はニュースを受けて低調で、記事執筆時点で3.5%下げている。サンフランシスコ拠点のSaaSパイオニアであるSalesforceは買収のアイデアで印象付けることができなかったか、あるいは2019年のIPOレベルの株価に戻すことになるかもしれない買収の価格について心配されているのだろう。
CRM(顧客情報管理)マーケットにおいて確固たる地位を築き、さらに大きなプラットフォームプレイヤーになることを熱望している巨大ソフトウェア企業のSalesforceがなぜSlackを買収したいのか。メリットはあるかもしれないが、すぐにははっきりしない。メリットとしては、2社のプロダクトを互いの顧客に売り込んでさらなる成長に結びつけるというのが考えられる。Slackは急成長のスタートアップの中で幅広いマーケットシェアを持っているが、その一方でSalesforceのプロダクトは多くの大企業に利用されている。
TechCrunchは買収の可能性についてSalesforce、Slack、そしてSlackのCEOにコメントを求めている。返事があればアップデートする。
Salesforceは2016年にQuip(クイップ)を7億5000万ドル(約783億円)で買収し、これにより書類共有やコラボの機能を手に入れたが、Salesforce Chatterが唯一のソーシャルツールだ。Slack買収でSalesforceは確固たる企業向けのチャットサービスを、そして顧客とツーリングの間で多くの相乗効果を手に入れる。
しかしSlackは常に、ただのチャットクライアント以上のものだった。企業がワークフローを埋め込めるようにしているが、これはSalesforceのセールス、サービス、マーケティングなど一連のプロダクトにぴったり合うだろう。2社がともにSalesforceエコシステムの内外で協業して、スムーズで統合されたワークフローを構築できるようになる。理論上はSalesforceもできるが、2社が合体すればインテグレーションはより強固なものになるのは間違いない。
さらには、買収によりSalesforceは収入のエンジンを動かし続けるために常に求めていた確実な収入源を得ることになる、とConstellation ResearchのアナリストHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は話す。「SlackはSalesforceのプラットフォームを強化するのに良い候補かもしません。しかしさらに重要なことに、使用増とSalesforceプロダクトの『頻繁な使用』を意味しています。コラボはCRMにとってだけでなくベンダーの成長中のwork.comプラットフォームにとって大事なのです」とミューラー氏は述べた。元友達から敵になったMicrosoft(マイクロソフト)に報復する方法となるだろう、とも話した。
これはSlackがこの数四半期、マイクロソフトからかなりの砲火を浴びているからだ。レッドモントに本社を置くソフトウェア大企業のマイクロソフトはTeamsサービスの競争にリソースを注いだ。TeamsはSlackのチャットツールと、Zoomのビデオ機能に挑んおり、この数四半期でかなり顧客数を伸ばしてきた。
Slackを大規模テック企業のコーポレートホームとすれば、マイクロソフトが企業向けソフトウェア売上高のリバイアサンの下でSlackを砕くことはないかもしれない。そして時にMicrosoftの味方であるSalesforceは急成長中のSlackを拡大しつつある自社のソフトウェア収入に加えることを気にしないはずだ。
この買収の実現は、価格にかかっている。Slackの投資家は情報が漏れる前の1株あたりの価格にかなりのプレミアムを上乗せしなければ売却したがらないだろう。
カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)