Satellite Vuが熱画像撮影のための衛星コンステレーション打ち上げに向けて約24億円調達

2100万ドル(約24億円)の新たな資金を得たSatellite Vu(サテライト・ヴュー)は、2023年に最初の7基の衛星によるコンステレーションを打ち上げ、計画通り地球の熱監視を開始することがほぼ決定している。Lockheed Martin(ロッキード・マーチン)とIn-Q-Tel(イン・キュー・テル)が投資家に加わっていることからもわかるように、同社による軌道上からの暑さと寒さの監視は、重大な経済的洞察と、さらにそれ以外の種類の洞察にもつながる可能性がある。

Satellite Vuは、急速に進化している地球観測画像の製品群に興味深い機能を追加する。例えばPlanet(プラネット)のような可視光や、ICEYE(アイスアイ)のようなレーダーによる3D構造に焦点を当てたプロダクトが多いが、Satellite Vuは熱画像を収集し、幅広い産業に応用することを目指している。

創業者兼CEOのAnthony Baker(アンソニー・ベイカー)氏が、2021年のシードラウンドの際に説明したように、熱画像を見れば、建物に人が住んでいるか、都市のどの部分に交通量が多いか、工場の熱や冷却水が漏れているか、地下水が消失しているか増加しているかなどを知ることができるのだ。

関連記事:産業や気候変動モニタリングで重要な赤外線と熱放射を観測する衛星画像のSatellite Vuが5.4億円調達、2022年に衛星打ち上げへ

「私たちの技術は、建物の熱的フットプリントを監視し、経済活動の洞察と効率を導き出すことができます。また、水路の廃棄物汚染を発見したり、災害救助を支援するためにも役立ちます」と、ベイカー氏はTechCrunchにメールで語った。

英国を拠点とする同社はこれまで、製品の需要を検証するために、高高度飛行で撮影した写真と、独自の画像処理ハードウェアを使って、敷地や都市全体をスキャンしてきた。この実証飛行が非常に好評であることが証明されたため、同社は実際に衛星が打ち上げられるまで定期的な運用を計画している。

衛星の打ち上げは2023年の初頭になる予定だ。同社はSpaceX(スペースエックス)と契約し、この打ち上げ会社のライドシェア機で、最初の衛星コンステレーションとなる7基の衛星を軌道へ運ぶ。Satellite Vuの「秘伝のタレ」である光学技術は、大気圏内飛行の時代からアップグレードされ、より鮮明な昼間の画像を提供できるようになっている。衛星自体もより機動力が増しており、1パスあたりより多くのショットを撮影できるようになった。

Satellite Vuの画像処理衛星のイメージ画像(画像クレジット:Satellite Vu)

この技術が諜報活動や防衛に応用できることは明らかだ。しかし、1ピクセルあたり約3.5メートルという解像力では、衛星に1人ひとりの人間を見る分ける能力はないと、ベイカー氏は断言する。もちろん、自動車や人の集団など、人間がいることを示す大きな特徴は見えるかもしれないが、これは戦術的に有用なものではない(比較のために挙げると、他社の衛星熱画像の解像度は1ピクセルあたり100メートル程度である)。

そうは言っても、これが商業的に価値ある情報源であることは明らかだ。同社がA2ラウンドと称する投資機会に、ロッキードとIn-Q-Telが誘い込まれたことからもそれはわかる。

「このラウンドは1500万ポンド(約23億円)で完全にコミットされていました」と、10月にベイカー氏は書いている。「しかし、ロッキード・マーチン、In-Q-Tel、Contrarian(コントラリアン)はもう少し時間を必要としていたので、このラウンドに参加させたかったのです。経営陣と現在の投資家は、シリーズBでコンステレーションに資金を供給する強力なシンジケートを持つことの重要性を理解し、これらの新しい参加者を高く評価しました」。

もちろん、複数の衛星を使うコンステレーションのコストは些細なものではないが、Satellite Vuは用心深く動いて、すべての正しいボックスにチェックマークを入れているようだ。

防衛用途と、気候変動や公害の追跡や対策に役立つ可能性を組み合わせることは、現時点において、このビジネスで得られる成功に最も近いと思われる。

画像クレジット:Satellite Vu

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。