SECがユニコーン、Zenefitsに厳しい措置――「投資家の判断を誤らせた」として元CEOらに罰金100万ドル

アメリカ証券取引委員会(SEC)はシリコンバレーのスタートアップの悪行の取締に乗り出した。まずターゲットとなったのはユニコーン〔10億ドル企業〕のZenefitsと元取締役のParker Conradだ。

BuzzFeedが最初に報じたが、このヒューマン・リソースのスタートアップとConradは総額で100万ドル近い罰金を支払うことでSECと和解し、訴追を受けないこととなった。SECは同社が「州の保険に関する法規に反し、判断を誤らせるような文言および省略により、投資家に実質的な損害を与えた」としていた。

昨年、当時のCEO、Conradが解雇された後、Zenfitsのトップは目まぐるしく入れ替わった。元COOのDavid SacksがConradの空席を埋めたが、その後Jay FulcherにCEOの席を譲った。

これより先、Conradのコンプライアンスに問題が発覚してZenfitsのトラブルが始まった。また保険チームの社員が州の法規で定められた保険販売員の資格を持っていなかったことも判明した。

SECが発表したプレスリリースによると、こういうことだ。

Zenefitsは〔保険業という〕高度に規制された業種にあったにもかかわらず、同社の成長にともなって急増した保険販売員に保険販売のための適切な資格を取得させることを怠った。投資家にその事実を知らせないまま同社はConradが作成したコンピューター・スクリプトを用いて保険の販売を行い、これによりカリフォルニア州法で定められた資格取得を省略し、資格取得準備のための研修時間の節約を図った。【略】 

Zenefitsは多数の中小企業にヒューマン・リソース・サービスを提供しているものの、売上の90%は保険販売からきていた。無資格販売の発見から生じた法律的問題を整理するために2年もかかることとなった。Conradは自分に割り当てられた罰金を支払うことに同意したが、連邦証券取引法に違反したとのSECの見解に同意したわけではない。

SECによれば、Zenefitsは45万ドルを、Conradは35万ドルを不当利得分として返還する。またConradはこれに加えて利子分2万3692.39ドル、罰金16万ドル、あわせて53万3692ドルを支払うという。【略】

SECがシリコンバレーのユニコーン企業にメスを入れたのはこれが最初だが、最後になるわけではなさそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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