編集部注:本稿はテルアビブ在住でスタートアップの取材などを行なっているDennis Mitznerによる。
フードデリバリーの分野には豊富な資金をもった巨人たちが既に参入しているように思える。しかしそんな中にあってもヘルシンキに拠点をおきフードデリバリー・サービスを手がけるWoltが、有名所から1100万ドルもの資金調達に成功した。Woltからのアナウンスによれば、出資したのはSkypeのファウンダーやNokiaのチェアマンなどであるとのこと。
「現在、北欧およびバルト海地域でサービス範囲を拡大しているところです。調達した資金は、新規サービス拠点および既存サービス拠点での人材確保のために使う考えです。さらには本部にて製品開発も行なっていきたいと思っています」とWoltのCOO兼共同ファウンダーであるJuhani Mykkänenは言っている。
今回の出資をリードしたのはEQT Venturesで、Skype、Ilkka Paananenを起業し、SupercellのCEOを務める著名投資家のニクラス・ゼンストローム(Niklas Zennström)も出資している。さらにはノキアのチェアマンであるRisto Siilasmaaも、前回に続き出資を行なっている。
今回の資金調達に伴い、Booking.comの前CEOであるKees Koolenが取締役に加わることともなった。
今回の資金調達の結果、Woltの調達額は1400万ドルとなった。
ちなみに前回のラウンドではInventure、Lifeline Ventures、Pii Ketvel、Supercellの共同ファウンダーであるVisa Forsten、および不動産王でフィンランド屈指の富豪であるPoju Zabludowiczなどが出資を行なっている。
フードデリバリーのヒートアップはこれからだ?!
Woltが行うフードデリバリー・サービス界には30億ドルの市場評価をうけるDelivery HeroやJust Eat、Take Eat Easy、Deliveroo、Grubhub、Seamless、およびFoodoraなどが参入している。
「世界をみれば、もっとたくさんの有力サービスがあるのでしょう。ただ、私たちのサービスにおける最大のライバルは街角のコンビニエンスストアだと考えています。人々も街角に何でも揃う店があることを当然だと考えて行動しています。フード関連サービスの(アメリカにおける)デジタル化率は0.5%程度で、宅配ピザ以外の成功事例というものがまだ出てきていないように思うのです。そこにチャンスが眠っているはずだと考えています」と、WoltのCEO兼共同ファウンダーであるMiki Kuusiは述べている。
確かにここにあるチャンスに注目する人は少なくないようだ。たとえば4月にはAlibabaは中国でフードデリバリー・サービスを手がけるEle.meに対し、9億ドルの出資を行なっている。ロンドンでオンデマンドデリバリーのサービスを行うJinnも750万ドルを調達している。3月にもフランスを拠点にデリバリーサービスを行うFrichtiが1340万ドルを調達して、サービス範囲拡大のためのインフラ整備を行なっている。
このような状況を考えてみると、数多くのライバルたちがWoltを待ち受けている状況だということができる。ただ人口こそ540万ほどと少ないものの、フィンランド内でかなりの市場シェアを握っている点には期待できるようだ。
「登録利用者は10万人で、提携レストランは450軒というのが現状です」とMykkänenは言っている。
フィンランドのように、極北の寒い地域にあっては、確かにデリバリーサービスは多くの人に受け入れられることだろう。冬も長く、外を出歩くのは大変なことだ。
アメリカについてみれば、食品の持ち帰りおよびデリバリー市場は700億ドル規模となっている。しかしオンラインでの規模を見ると90億ドルという状況だ。
ちなみにWoltも他のデリバリーサービス同様に、手数料で収益をあげるモデルを採用している。
Mykkänen曰く「持ち帰りについては少額の、そしてデリバリーについては少し高めの割合を店舗からもらうようになっています。売れたときのみの課金で、月額の利用料や入会金などはありません。利用者の方については、サービスはすべて無料でご利用いただけます。サービスを利用することにより、実際の店舗の価格よりも高額になるようなこともありません」。
資金調達を報告した際の話によれば、Woltは32軒のレストランと提携して、ストックホルムでもサービスを提供する旨がアナウンスされた。Woltにとって、ストックホルムがフィンランド国外での最初の拠点となるわけだ。
「ストックホルムにも優秀な人材が揃いました。北欧の他の地域でも人材を獲得してサービスを展開していきたいと考えています。これからの私たちの成長にぜひご注目ください」とKuusiは述べていた。
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(翻訳:Maeda, H)