Slackは、同僚間でのチャットや、ファイル共有、仕事を邪魔するためのGIFの送り合いなどに使われ人気を博している。この度Slackは、もっと広い意味での生産性向上プラットフォームに成るべく、幾つかの大きな施策を行った。今現在、Slack上には600ものアプリが存在し、簡単で短いコードを使うだけで、他サービスのコンテンツをSlack上で他のユーザーに共有することができる。そして今、Slackはプラットフォーム戦略の別の部分を拡大しようとしている。
本日(米国時間7月19日)Slackは、これまでに合計197万ドルを14社のスタートアップに投資したと発表した。最近投資が行われた11社についても明らかとなり、全てがボット関連サービスを提供するスタートアップだった。投資資金は、2015年12月にはじめて発表された8000万ドル規模の投資ビークルSlack Fund経由でまかなわれた。Slackは、Slack Fundでトップレベルのベンチャーキャピタル数社と組み、アーリーステージ投資の一部として、将来有望なスタートアップへの投資を行っている。
今回名前が明かされたスタートアップは、Abacus、Automat、Birdly、Butter.ai、Candor, Inc.、Growbot、Konsus、Lattice、Myra Labs、SudoそしてWade & Wendyだ。11社のこれまでの合計資金調達額は約3000万ドルにおよぶ。
7ヶ月ほど前に、SlackがSlack Fundのローンチと共に投資先として発表した3社(Awesome.ai、Begin、Howdy)を加え、同社はこれまでに14社のスタートアップに対して投資を行ってきたこととなる。
小さなプログラムでできているボットは、人間同士の交流をAIと機械学習で代替し、人の代わりに何かをしたり、必要な情報を素早く入手したりといったことができる。そして急速に高まるポッド人気というのは、これまでもしばらく追い続けてきたトピックだ。
今では何100社ものスタートアップがボットを開発しており、その中には既存のアプリ向けのものもあれば、スタンドアローンのボットアプリとしてそれ自体を利用することができるものもある。General Catalystのようなベンチャーキャピタルは、ボット開発を行う見込みあるスタートアップ探しに必死になっており、実際にGeneral Catalystは、Slackの投資先と同じ3社(Butter.ai、Growbot、Begin)に対してその資金を投じている。
300万人のデイリーアクティブユーザーと93万人の課金ユーザーを擁するSlackにとって、Slackbotと呼ばれるこれらのサービスへ投資やサポートを行うのには、いくつかの明確な理由がある。
第一に、もともと開発者用(Slackの開発者は、Slack誕生前にGlitchやその他メッセージサービスを利用していた)のコミュニケーションツールとして使われていたサービスを生み出した企業として、開発者との良好な関係を保ち、彼らを熱心なユーザーと同じように扱う目的がある。
次に、Slackがスタートアップに投資やサポートを行うことで、Slack専用につくられたもっと面白いサービスをみつけることができる。その結果、Slack自体が課金ユーザーにとってもっと便利で魅力的なサービスとなるのだ。同社によれば、Slackの有料サービスを利用しているチームの90%が、「活発に」Slack上のアプリを利用している。
「Slackのようなエコシステムは共有の精神から成り立っています。プラットフォームとしてのSlackの影響力は、本質的にそして必然的に、私たちのパートナーや開発者の成功に結びついているのです」とSlack自身もつづっている。
投資にあたって何社のスタートアップがSlackにプレゼンを行ったかということに関しての回答は得られなかったが、今後も投資活動は続けていくとのこと。
Automatを使えば、誰でもチューリング・テストに合格するようなボットを簡単につくることができる。現在プライベートベータ板が公開中。
Birdlyは、SlackとSalesforceを接続し、誰でもあるアカウントに関する必要な情報にアクセスすることができる。
Butter.aiは、会社に蓄積された情報へのアクセスを簡単にするパーソナルアシスタントボットで、プライベートベータ板が公開されている。
Candor, Inc.は、完全に率直なフィードバックをもとに、スタッフ間の関係性向上を目指している。CandorのSlackアプリは現時点では一般公開されていない。
Growbotは、良い仕事をしたチームメイトを褒めたり、励ましたりするのに使える便利なボットだ。
Konsusを使えば、Slackを通していつでも必要に応じてフリーランサーに仕事を頼むことができる。
Latticeは、目標設定機能や週ごとのOKR(Objectives and Key Results=目標と主な成果)報告機能、さらにはフィードバック機能を備えた、Slackチーム内で利用できるボットだ。
Myra Labsを使えば、そのまま使える機械学習モジュールを備えたAPIを利用して素晴らしいボットを作ることができる。現在プライベートベータ板が公開中。
Sudoは、営業スタッフをデータのマニュアル入力から解放するCRM(顧客管理システム)管理ボットだ。現在プライベートベータ板が公開中。
Wade & Wendyは、2種類のインテリジェントな人材採用アシスタントだ。Wadeは、キャリアコンサルタントとして仕事探しを手伝ってくれ、Wendyは採用チームの候補者探しをサポートする。Wade & Wendyはまだ公開されていないが、ウェイティングリストに加わることができる。
以前の投資先
Awesome.aiは、チームが歩調を合わせたり、要点をまとめたり、何が重要か検討したりするのをサポートする。
Beginは、ユーザーの集中力と効率性を向上させるサポートをして、全ての業務を掌握する手助けをする。
Howdyは、共通のタスクを自動化することでチームをサポートする、フレンドリーで訓練可能なボットだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)