2016年が始まった今、Slackのようなエンタプライズチャットアプリケーションが、にわかにホットなコモディティになってきた。そしてチャットの世界で今いちばん賑やかな議論が、チャットクライアントにいるままでほかの仕事もできることだ。Workatoが今日(米国時間1/25)発表したチャットボットWorkbotは、まさにそれをやる。
チャットボットはチャットプラットホームに統合される小さなプログラムで、高度な機能を比較的簡単なやり方で提供する。Workbotは、それをユーザが使えば100あまりのエンタプライズアプリケーションをアクセスしコントロールできる。SalesforceのCRM記録、Quickbooksの経理会計情報、Zendeskのカスタマサービスにおける対話などに、Slackの中から直接、アクセスできる。
Enterprise 2.0ツールの問題点は、それがまったく別のアプリケーションであるため、忙しい社員が意識を、今やってる仕事からそっちへ切り替える必要があることだ。そこでWorkbotでは、社員が同僚とSlackでディスカッションしているときでも、その状態のまま顧客情報などに直接アクセスできる。あるいは、いちいち指示しなくても情報を自動的にボットから得られる。
Workatoに投資しているStorm VenturesのパートナーAnshu Sharmはこう語る: “YammerやSalesforce Chatterなど、初期のコラボレーションツールは、たしかにメールをしなくていい、など、最初の好印象が醒めると、目の前にあるのは、自分で意識して世話をしなければならない新たなフィードなんだ”。
WorkatoのWorkbotなら、チャットクライアントの中から必要なエンタプライズアプリケーションと直接に対話できる。しかもその流れを、ある程度自動化できる。Amazon Echoなどと同じく、情報を得るためにはある種の言語が必要だが、’customer info’のようなシンプルな省略語を使ってタイピングの量を減らすこともできる。
このツールは、三つの仕事をする。まず第一に、Slackの中で、さまざまな顧客情報ソースから取り出した完全な顧客情報を見せる。ただし単なる統合化ツールではなくて、サポートチケットのプライオリティや顧客の位置、これまでの請求書、などの情報を使ってデータを選り分けることができる。三つ目は、顧客にトリガを設定しておき、特定の顧客の情報とそれに関するメッセージをSlack内のWorkbotに自動的に表示できる(例:「この人は使えるサポートチケットがあと二つしかない」)。
Workatoは、エンタプライズのアプリケーション統合化を専門にしている企業だ。高価で複雑なエンタプライズワークフローや統合化のツールを使うのではなく、Workatoのやり方は技術知識のないユーザでも自分で統合化を作れるような、単純なプロセスを作り出す。その“レシピ”をまとめるやり方は、消費者向けのIFFTに似ている。
メッセージングツールの中でエンタプライズアプリケーションの統合化をトライするのは、同社のこれが初めてではない。Microsoft Outlookの中のメールとアプリケーションの統合化は、過去にいろんな企業がやっている。
さらに、今世紀の初めには、エンタプライズのインスタントメッセージングクライアントを仕事の中心に据える、という試みがあったが、実を結ばず短命に終わった。
またFacebookは消費者向けにMessengerの中で、同様のことをトライしている。
Workatoは、HipChat用Workbotの非公開ベータを、発表している。