Snapchat(スナップチャット)は米国時間12月23日、ビデオゲームSims(シムズ)のキャラクターのように見えるARフィルターのAvatar(アバター)レンズをリリースした。もっと、今っぽい表現をするとメタバースに登場するような顔になれるものだ。このレンズを使うには、Snapchatアプリでカメラを開いてSnapchatのウェブサイトにあるQRコードをスキャンする。すると、メタバースでの自分の肌が怖いほど滑らかなのを目にする。そばかすやニキビなどは存在しない。
新しいSnapchatのレンズは、特に同社が拡張現実に全面的に取り組んでいるため、本質的に注目すべきものではない。これは数年来続いているオンとオフを繰り返すバイラルのトレンドの続きだ。過去から判断すれば、おそらくすぐにTikTokに登場する。
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Snapchatは2020年8月にCartoon Faceレンズをリリースし、ユーザーは自分のペットを「Disneyfy(ディズニー化)」するのに使えると気づいた。#disneydogというタグはTikTokに飛び火して4090万回の視聴を獲得した。そしてSnapchatは同年12月にCartoonレンズをリリースし、再びバイラルの金字塔を打ち立てた。このレンズでは、以前のレンズよりも人間の顔をよりリアルに再現することができる。
しかし、Snapchatはこのトレンドを若干改良したバージョンを作り続けていて、結局、これらもバイラルになる。人間というのは予測可能なものだ。
2021年6月、ディズニー風のトレンドは、リリース後の最初の週に28億インプレッション(広告が表示された回数)を獲得したCartoon Style 3Dレンズで再び圧倒的な記録を打ち立てた。そして今回、顔だけでなく服も漫画風になるAvatarレンズが登場した。次は、Horizon Worldsで誰かが作ったような、身の回りのものを再現するレンズだろうか。おそらく。
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2021年12月初め、SnapchatはAR技術の祭典であるLens Festを開催した。同社はこのイベントで、200カ国超から25万人以上のレンズクリエイターが参加したと発表した。合計で250万個のレンズが作られ、3兆5千億回以上視聴された。一方、SnapchatのTikTokクローンであるSpotlightは、クリエイター1万2000人の投稿に対して、総額2億5000万ドル(約286億円)を授与した。同社によると、Spotlightの投稿の65%以上がSnapchatのクリエイティブツールやレンズのいずれかを使用しているとのことだ。
Niantic(ナイアンティック)やSnapchatのような企業は、仮想現実よりも拡張現実の方がメタバースを構築するのに適していると考えている。しかし、Meta(メタ)のようなヘッドセット好きのテック大企業にとっても、ARはメタバースで実際に自分自身の姿を見せるのに役立つ。SnapchatのAvatarフィルターは、筆者を非現実的なバービー風に見せるが、それでも、茶髪で眼鏡をかけたどこにでもいる白人女性のように見える私のMeta Horizonアバターよりは、少しパーソナライズされているように感じられる。
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ただ、このような自分を目の当たりにすると、何か違和感がある。
Snapchatのレンズの中のアバターは筆者のように見えるが、眉毛は美容師に丁寧に整えてもらったかのように完璧に手入れされている。唇はふっくらとし、リップグロスをつけているようだが、筆者はその日メイクをしていなかった。
VRメタバースでは、自分を表現するアバターが必要だ。そうでなければ、ただの見えない塊になってしまう。バーチャルペルソナを作るのをサポートしようとReady Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)、Spatial(スパティアル)、Genies(ジーニーズ)のようなスタートアップが登場している。しかし、拡張現実では、深く入り込めるようにする方法で現実世界を変化させることが前提となっている。SnapchatのARフィルターはおもしろいが、ARメタバースにアバターは必要ない。そしておそらく、ネット上で自分自身の最高の姿だけを見せることがどれほど危険なことか、私たちはすでに知っているというのは良いことだ。
画像クレジット:Snapchat
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi)