Snapchatからほかのアプリにストーリーや広告を展開できるようになる

Snapchatは成長がみられなくなっていたことから生じていた収益の問題を解決する答えを見つけた。

Snapchat Ad KitとSnapchat Audience Networkを導入して、ほかのアプリに広告を表示できるようにする。Snapchatの写真やストーリーをコピーしてほかのアプリに表示するのではなく、共有マッチングサービスのTinderやグループビデオチャットのHousepartyなどのアプリの中でユーザーがStories Kitを使ってSnapchatのカメラで作ったストーリーを共有しホストできるようになる。

Snapchat Ad KitとSnapchat Audience Networkはともに今年の後半に導入される予定で、マネタイズとエンゲージメントを検討したい開発者は利用を申請することができる。

Snapchatはロサンゼルスで開催した初のプレスイベント、Snap Partner Summitで、このSnap Kitの強化を発表した。このイベントでは同時に新しいARユーティリティプラットフォームのScanと、マルチプレイヤーゲームのプラットフォームも発表された。200以上のアプリがすでにプライバシーに配慮したSnap Kitを統合して、ほかのアプリにSnapchatでログインしたり、Bitmojiを利用したり、ストーリーのコンテンツを見たり、ステッカーをSnapchatに共有したりすることができるようになっている。

今年の後半からは、開発者はAd Kitを使うことでSnap Kitで稼ぐことができるようになる。開発者がSnapchatのSDKを統合すると、Snapの広告主はSnapchatのユーザーと、Snapchatを使っていないほかのアプリのユーザーの両方にリーチする広告を出すことができる。

Snapchatは広告収入を開発者と分配することになるが、開発者の関心をうかがっている段階であるという理由でどのように分配するかについてはコメントを避けた。この動きはFacebookのPlaybookに通じるもので、基本的にはFacebookのAudience Networkの機能と名前を模倣している。

Snapchatが非ユーザーにどうリーチし、広告のビューを追跡するのか、またユーザーのプライバシーを保護しつつ必要な分析を他社にどう提供するかについては、まだ疑問が多い。しかしSnapchat独自の縦型ビデオの広告ユニットをほかのところで再利用できるようにすれば、広告主にとってはスケールの価値があるということになるかもしれない。

スケールできないことが、少なからず広告主がSnapchatを敬遠する理由になっていた。SnapのCEO、Evan Spiegel氏は「米国では、Snapchatは13〜34歳の75%、13〜24歳では90%にリーチしている。米国、英国、フランス、カナダ、オーストラリアの13〜24歳では、FacebookやインスタグラムよりSnapchatのほうが多くリーチしている」と語っている。

こうしたユーザーにSnapchatの外でもエンゲージするために、Story KitでApp Storiesの機能を追加する。Snapchatのユーザーは、写真やビデオを作成した後で、統合されたアプリに共有するかどうかを選べるようになる。こうして作られたストーリーは、ほかのアプリで設定された場所に表示される。

Tinderでマッチする可能性のある人を探しているときに、人々の写真とともにSnapが挿入されることになるだろう。友だちがグループチャットのソーシャルネットワークのHousepartyにいないときに、その友だちが何をしているかを見られるかもしれない。AdventureAideで探検家のおすすめビデオを見ることもできる。

現時点でSnapchatはほかのアプリでストーリーとストーリーの間に広告を入れることは検討していないが、常にその可能性はある。インスタグラムとFacebookがStories Kitを真似て、同じようなものをほかのアプリにいつ展開するのを注視していく必要があるだろう。

Snapは、ほかにも新しい統合やビッグネームとのパートナーシップを発表している。Bitmoji Kitでパーソナライズしたアバターを携帯電話やFitbitのスマートウォッチ、個人間送金サービスのVenmoの取引で使えるようになる。Netflixのコンテンツのプレビュー画像(予告編ではなく)をSnapchat Storyに共有して表示できるようになる。Webに新たに登場する共有ボタンで、ワシントンポストなどの記事を自分のストーリーに共有することもできる。

Snapchatのエクスペリエンスをほかのアプリに広げていくことで、ほかのアプリはSnapchatをコピーする必要がなくなる。ほかのアプリはオリジナルを取り入れ、開発の手間も大幅に削減できる。

そしてSnapchatのアカウントがWebでさらに価値を持つプラットフォームとなる。こうした統合によってSnapchatが大きく成長するわけではないかもしれないが、既存のユーザーの満足度を維持しマネタイズすることにはつながるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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