Snapchatが、TikTokに対するより直接的な挑戦の準備をしているようだ。同社は、Snapchatの公開コンテンツを垂直方向のスワイプで移動できる新しい操作方法をテストしていることを認めた。この操作はTikTokによって普及したビデオ切り替え方式だ。Snapchatによると、この機能はコミュニティコンテンツのための、さまざまな没入型ビジュアルフォーマットを探究する実験の1つだ。
このテストは友達のプライベートストーリーではなく、Snapchatディスカバーに公開されているコンテンツに焦点を当てている。ただし、ストーリーは様々な要素で構成されているので、ユーザーはこれまでと同様にタップしてストーリーを進めることもできる。しかし今回の新しい実験では、左右を問わず水平方向にスワイプすると、これまでのようにストーリーの切り替えを行うのではなく新機能は終了してしまう。
TikTokに多くの時間を費やすようになった人にとっては、いまや垂直スワイプが、ビデオを移動するためのより自然な方法のように感じられるようになっている。そうしたユーザーは、水平スワイプが使用されているSnapchatやその他のアプリに戻ると、方向感覚を失ったような気分になるのだ。
このテストの存在は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏によって、Twitterユーザーの@artb2668からの投稿を引用する形で最初に報告された(Twitter投稿)。そこでシェアされた写真の上には、新しい機能をどのように操作すれば良いかを示すアプリのポップアップが示されており、そしてその操作感覚を示すビデオも添付されている。
SnapchatはTikTokフォーマットを新しいディスカバーページでテスト中なのかな?アーサー、これはまるでTikTokだよね。
Snapchatはこのテストが初期段階にあることと、ごく少数のユーザーにしか提供されていないこと以外の、テストに関する具体的な詳細を提供することを拒否した。
「私たちはいつでも没入的で魅力的なコンテンツを、モバイルファーストのSnapchatコミュニティに投入する方法を試しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。
もちろん、Snapchatによるテストのタイミングは興味深いものだ。
トランプ政権は現在、TikTokが中国と緊密な関係を持っていること、そしてアメリカ人の個人ユーザーデータが最終的に中国共産党の手に渡るのではないかという恐れから、TikTokを米国で禁止するぞという圧力をかけている(The Wall Street Journal記事)。このアプリは、同様の理由ですでにインドでは禁止されている。米国時間7月10日には、Amazonは従業員に対して、会社が発行したスマートフォンからTikTokアプリを削除するように指示した(The NewYork Times記事)が、5時間後にはその要請を撤回した。2020年初めにはペンタゴンの警告を受けて、米軍の各部門も同アプリへのアクセスをブロックしている(The NewYork Times記事)。一方、Musical.ly(このアプリがTikTokとなった)は、中国のByteDance(バイトダンス)による買収により、米国の国家安全保障レビューを受けている(The NewYork Times記事)。
TikTokが削除の脅威に晒される中で、競合するソーシャルアプリであるByte、Like、Triller、Dubsmashなどが、アプリストアチャートで上昇している。一方Instagramは、TikTokに似たReelsをインド(未訳記事)を含む新しい市場に拡大している。最近はYouTubeでさえ、TikTokのようなエクスペリエンスのテストを開始した(未訳記事)。
TikTokの米国ユーザーをすぐに手に入れられる可能性を考えると、Snapchatが自社のユーザーベースでも同じことをやりたがるのは当然のことだ。
このテストは、ソーシャルアプリのユーザーエクスペリエンスの支配力に対して、TikTokがどれだけ影響力を持つようになったのかも示している。Snapchatはかつて、Instagramを含むほとんどすべての他のソーシャルアプリによってそのショート形式のストーリーのコンセプトを盗まれたが、いまやTikTokのスワイプ可能な垂直フィードがみんながコピーする対象となったのだ。
画像クレジット:Denis Charlet / AFP / Getty Images
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(翻訳:sako)