何千個ものミニ衛星で地球全体をカバーするStarlinkコミュニケーションシステムを構築するSpaceXのプロジェクトがFCC(通信委員会)からを承認を受けた。ただしSpaceXが実際にこの衛星の打ち上げを開始するまでにはしばらくかかる見込みだ。
今日(米国時間11/15)、FCCは今月の定例会で承認されたプロジェクトを発表した。Starlinkの他にKepler(衛星140基)、Telesat(117基)、LeoSat(78基)が含まれている。しかし打ち上げ予定衛星数ではStarlinkが文字通り桁違いに大きい。これ以外にももっと小規模な衛星コミュニケーション計画がいくつか承認を受けている。
SpaceXが発表した計画では最終的に7518基の衛星を軌道に投入される。これとは別に、われわれが2017年3月に報じたとおり、4409基のプロジェクトがすでに承認を受けている。先月、FCCは決定のドラフト (PDF)を公開し、申請があった衛星コミュニケーション・プロジェクトを承認する意向であることを示唆していたが、今回の発表で公式な決定となった。
SpaceXのの衛星は340キロという(衛星としては)非常に低い軌道に打ち上げられる。これは他のプロジェクトにくらべて550キロも高度が低い。
低軌道の衛星は大きな空気抵抗を受けるため寿命が短い。打ち上げてから大気圏に突入して燃え尽きるまで数年とみられている。.しかし地表に近いということはそれだけ通信のレイテンシーも必要とする電力も小さくてすむ。その代わり1基のカバー範囲が狭くなるため多数の衛星が必要となる。しかし計画どおりに運用できるのならコミュニケーション需要が大きい地域に高速かつ信頼性の高いネットワーク接続を提供できる。ただしSpaceXがこれまでに打ち上げたのは2基の実験用衛星に過ぎないので、現実に可能かどうかは今後検証されることになる。
Starlinkの衛星は現在主流のKa/KuバンドではなくVバンドを使う。これは総計1万2000基にもなる衛星の電波でKa/Ku帯域を飽和させないようにという配慮だ。
Starlink衛星の打ち上げは来年中に始まるはずだ。このスケジュールが守れないとStarlinkの幹部はイーロン・マスクの怒りを買うことになるだろう。しかしネットワークを機能させるためには非常に多数の衛星を打ち上げる必要があり、部分的にでもシステムが稼働するまでには相当の年月を必要とする。
こうした多数のミニ衛星打ち上げはそれでなくとも混雑している宇宙をさらに混雑させ、宇宙ゴミを大量に作り出すことになるのではないかという懸念を抱く読者もいるかもしれない。この点ではSpaceXは優等生だ。まず一段目ブースターを再回収することにより、海洋の粗大ゴミとなることを防ぐ。また現在ほとんど使われていない低軌道を利用するため他の衛星と干渉する可能性も低い。
奇妙に聞こえるかもしれないがFCC宇宙ゴミを所管する主要な官庁の一つで、現在これに関する規則の見直しに着手している。【略】
新規則は最終決定に至るまでまだ時間がかかるもようだが、近々ドラフトが公開されるはずだ。宇宙デブリが深刻な危機に発展する前にFCCがどのような対策を考えているのか注目だ。
画像:Moment / Getty Images
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