SPOT、独自センサーにより駐車場の満空情報がスマホで分かる「Smart Park」を提供開始

Smart Park

駐車場上部の空きスペースを店舗として活用する「空中店舗」事業を運営するフィル・カンパニー創業者の松村方生氏が2014年に設立したSPOTは、駐車場IoT事業のスタートアップだ。そのSPOTが10月18日、独自のセンサーで駐車場の満車・空車情報をリアルタイムにスマホアプリに配信するサービス「Smart Park」を発表した。まずはiOS版アプリが提供開始され、Android版アプリの公開も予定されている。

Smart Parkでは、コインパーキングなどの満車・空車を表示するLED掲示板に、ソーラーパネルで充電できる独自センサーを設置し、LEDの表示切り替わりを感知して、無線で満空情報を送信。駐車場の空きを探すユーザーは、駐車場の場所や価格などの情報と合わせて、スマホアプリで空き情報を確認することができる。

Smart Park solar panel

Smart Park センサー

SPOT COOの花房寛氏は「日本国内の駐車場事業者は多岐にわたり、大手10社でも過半数未満で中小零細事業者が多く、細分化されている。また、精算機メーカーもバラバラで、駐車場の満空情報を一元的なデータとして収集するのは、これまで困難だった」と話す。「Smart Parkの満空検知ハードウェアは電源不要で約20分で設置でき、精算機データに頼らず、駐車場事業者をまたいで広くリアルタイムに情報を収集、配信できる点が特徴だ」(花房氏)

スマホアプリでは、ユーザーは地図上の駐車場の場所と空き情報を確認できるほか、駐車予定時間から算出される料金順に、近隣のおすすめ駐車場がチェック可能。また、駐車料金が高くなりすぎる前に出発できるよう、時間で料金をシミュレートした結果に基づき、アラームをセットすることもできる。Smart Park App

花房氏によれば「駐車場の位置や料金、車高・車幅制限などの情報はIMJとの提携により取得している」という。「現在、全国4万件以上の駐車場をアプリで検索でき、そのうち1万件以上について満空情報が確認できる。Smart Parkのセンサーは約1000台設置済みで、残りの満空情報については駐車場事業者との提携で情報を提供してもらい、カバーしている」(花房氏)

Smart Park事業の収益については、駐車場事業者からの手数料などを予定。「3〜4カ月ほど、都心部でのアプリの実証実験を行ったうえで、今後、ユーザーの利用状況がわかるビーコンをアプリへ搭載することや、それらを使ったポイント還元によるタイムセールなど、広告的な事業展開も検討している」(花房氏)

SPOTでは、2015年6月の1億円の増資により、駐車場IoT事業を本格化。満空検知ハードウェアの開発、量産を経て、2016年6月にさらに1.6億円を増資した。この調達により「2017年3月までにSmart Parkのハードウェア5000台を都内に追加設置する」(花房氏)という。「精算機データでは、稼働状況を把握できるまでにタイムラグがあるところを、Smart Parkならリアルタイムで満空状況のモニタリングができるので、時間別の価格設定など、駐車場の収益向上につながる対策を早いサイクルで実施することができる点も事業者にとって強みになる。また将来的にはコインパーキングだけでなく、商業施設や店舗の駐車場などとも連携し、駐車スポットの総合ポータル化を目指す」(花房氏)

日本国内の時間貸し駐車場は駐車場件数、台数ともに増え続けており、コインパーキング市場は約1兆円。一方で、ドライバーは駐車場探しに平均10分〜20分かけているという。花房氏は「駐車場探しにかかる無駄な時間や狭い道で探し回ることによる事故、CO2排出量などを、IoTを利用した“スマートパーキング”で削減することができると考えている」と話す。Technavioのスマートパーキング市場に関するレポートによれば、欧米各都市でスマートパーキングサービスが立ち上がり、市場も拡大している。「自動運転社会へ向かう時流の中で、都市の駐車場の満空状況や価格などの情報もセットで考えられるべきだ。自動運転社会のプラットフォームとして、駐車場IoTはスマートシティを構成する要素となるだろう」(花房氏)

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。