Spotify(スポティファイ)は米国時間2月9日朝、Engadgetの報道を受けて、米国市場で歌詞を同期させる新機能のテストを始めたことを認めた。このストリーミング音楽サービスは現在、27もの市場(最近サービスを開始した韓国も含む)で歌詞のライブ配信を行っているが、米国では何年も前から提供されていなかった。代わりにSpotifyはGenius(ジーニアス)と提携し、歌詞と再生中の曲に関するトリビアを合わせて閲覧できる「Behind the Lyrics」機能を提供している。
コメントを求められたSpotifyは、新しい歌詞機能は同日より米国の一部のユーザーを対象とするテストとして提供を始めたと述べた。
「現在、米国内の一部のユーザーを対象に歌詞機能のテストを行っていること認めます」と、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。「Spotifyでは、ユーザー体験を向上させるために、定期的にいくつかのテストを行っています。これらのテストの中には、より広範なユーザーエクスペリエンスへの道を開くことになるものもあれば、重要な学習としての役目のみを果たすものもあります」。
同社は計画の詳細を公表することは拒否したが、米国における新しい歌詞機能のパートナーがMusixmatch(ミュージックスマッチ)であることは明らかにした。Musixmatchは、すでにこの機能が導入されている米国以外の市場で歌詞を提供している。
Spotifyが米国で歌詞表示機能を導入するのは、実は今回が初めてではない。もともとSpotifyは、2011年から2016年までの間、Musixmatchと提携していたのだが、その関係を終わらせ、代わりにGeniusと提携を結ぶことになったのだ。歌詞機能の復活を求めるユーザーの継続的な要求にもかかわらず、Spotifyはこの機能を米国で復活させることはなかった。
しかし近年、Spotifyは再びMusixmatchとの関係を復活させた。2020年、Spotifyは東南アジア、インド、ラテンアメリカにわたる世界26の市場でリアルタイム歌詞機能を導入すると発表した。このうち22の市場では、歌詞が提供されるのは初めてのことでタイ、ベトナム、インドネシア、メキシコだけは、他のプロバイダーを経由して、何らかのかたちですでに歌詞がサポートされていた。
米国でSpotifyが歌詞をサポートしていないことは、ストリーミング音楽の競合他社に優位性を与えてきた。たとえばAmazon Music(アマゾンミュージック)は、ユーザーが曲の再生に合わせて歌詞を表示することができ、その機能を音声プラットフォームのAlexa(アレクサ)に結びつけることで、Alexaに歌詞で曲を検索してもらうことが可能だ。一方、2018年のiOS 12で刷新されたApple Music(アップルミュージック)は、単にアーティスト名やアルバム、曲のタイトルだけでなく、歌詞で曲を検索する機能が搭載された。その後、iOS 13では歌詞をライブで同期する機能も追加。Siriに歌詞の一部を伝えれば曲を検索することもできる。
Musixmatchも、米国で行われる新しいテストでSpotifyと提携したことを認めた。
「Musixmatchは、10年間の継続的な投資を行ってきたおかげで、速いペースで成長しています。私たちは今、世界中でオーディオ体験を豊かにし続けるために、より多くのデータを提供することに注力しています」と、MusixmatchのCEOであり創業者であるMax Ciociola(マックス・シオシオラ)氏は、TechCrunchに語った。
今回の歌詞機能はテストに過ぎないため、対象者が限定されており、実際にSpotifyアプリで歌詞を見ることができない人もいるだろう。このテストが拡大される可能性はあるのか、もしあるなら、いつになればさらに多くの人が利用できるようになるのか、ということについて、Spotifyは明言していない。
カテゴリー:ネットサービス
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)