SpotifyのClubhouseクローンがプレイリストと連携した週刊プログラム6本を追加

2021年の夏、Spotify(スポティファイ)は自社製ライブオーディオアプリでClubhouse(クラブハウス)のライバル、Spotify Greenroom(スポティファイ・グリーンルーム)を公開し、当初はユーザー生成ライブコンテンツが中心だが、近いうちにそれを補強するプログラムを追加することを約束した。米国時間9月13日、同社は約束どおり、ポップカルチャーと音楽に焦点を当てた6つの新しい番組を発表した。「プレイリストにインスパイアされた番組」、すなわちSpotify自身が作るプレイリストに基づいた番組もある。

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この中には、2019年に始まった人気のプレイリスト、Lorem(ローレム)に基づくものもある。Loremはポップ、R&B、ガレージロック、ヒップホップなど多岐にわたる音楽のミックスを紹介するプレイリストで若い、Z世代に焦点を当てている。現在、Spotifyで88万4000以上の「いいね!」が付いており、同プラットフォーム上で新しいアーティストがブレイクする場所の1つになっている。今後Loremのリスナーは、「Lorem Life」というSpotify Greenroomと繋がって、さまざまなカルチャーと音楽、環境、サステナビリティ、ファッション、宇宙などの議論の場を利用できるようになる。番組のホストはZ世代のインフルエンサーでTikTokのスターであるDev Lemons(デヴ・レモンズ)氏とMax Motley(マック・モトレー)氏で、アーティストや他のインフルエンサーを呼ぶ予定だ。米国東部標準時9月15日午後9時に放送が始まる。

もう1つ新しい「プレイリストにインスパイアされた」番組が「The Get Up LIVE」だ。この名前に聞き覚えがあるなら、それは「The Get Up」が2020年秋に始まったSpotifyの日刊モーニングショーであるためだ。音楽とトークを交えたラジオスタイルのコンテンツで、ホストはニュースやポップカルチャー、エンターテインメントなどをテーマに話をする。しかし、これまでそのコンテンツがライブプログラムとして提供されることはなく、事前に録音したものをプレイリストとしてリスナーに配信してデイリーのFMラジオ番組の雰囲気を作っていた。当初同プログラムは米国東部標準時9月15日午前11時に公開予定だったが、延期された。

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この公開時期は、通勤する人のための番組を提供するという当初のSpotifyの意図とは矛盾する。しかし、終わりのないパンデミックでリモートワークが拡大する中、通勤ユーザーへの取り込みは新プログラムにとって優先度が低いのかもしれない。それでもSpofityは、デイリーショーは今後も平常通り提供され、The Get up LIVE はそれを補完するものだとTechCrunchに語った。再放送があるのはそれが理由だ。

Greenroomの他の番組には、俳優のGarrett Clayton(ギャレット・クレイトン)氏と作家で教育者のBlake Knight(ブレイク・ナイト)氏のカップルがLGBTQIA+のニュースや問題を話し合う「A Gay in the Life」(毎週月曜日、米国東部標準時午後8時、本日開始)、ポッドキャスト「Watch What Crappens」のBen Mandelker(ベン・マンルカー)氏とRonnie Karam(ロニー・カラム)氏がホストになってリアリティーショーの概略やその他のポップカルチャーの魅力を紹介する「Take a Seat」、ホストの映画マニアでコメディアンのJon Gabrus(ジョン・ガブラス)氏が最新話題作のレビューと解説を行う「Movie Buff」(毎週月曜日、米国東部標準時午後11時から)、そしてSpotifyのプレイリスト「Most necessary」を補完してホストのB.Dot(ビー・ドット、Brian “B.Dot” Miller)氏が新進気鋭のヒップホップを紹介する「The Most Necessary:Live”」毎週火曜日。米国東部標準時午後9時から)がある。

これらの新プログラムに加えて、Deuxmoiの番組「Deux Me After Dark」も本日、米国東部標準時9月13日午後9時から放送され、2021年のMet Galのレッドカーペットの様子やゴシップの概要を、ゲストのWho What Wearの共同ファウンダーであるHilary Kerr(ヒラリー・カー)氏とともに語る。

画像クレジット:Spotify

現在、Greenroomは世界135カ国以上のリスナーに提供されており、スポーツ・サイトとポッドキャスト・ネットワークの「The Ringer」(ザ・リンガー)やPop Smoke(ポップ・スモーク)氏などのアーティストのライブオーディオとともに静かに広まっている。他に追加されたプログラムには、Men In BlazersDeaux Me After DarkTrue Crime Rewind、およびAsk The Tarotがある。番組の多くはライブ放送が終わった後もオンデマンドで公開されている。

Greenroomは2021年スタートで出遅れた。ルーツがスポーツトークライブ番組であることから、Spotifyの音楽ファンとは必ずしもつながりがなかった。加えて、競争相手は同サービスが生まれるきっかけとなったClubhouse(クラブハウス)だけでなく、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Reddit(レディット)、Discord(ディスコード)など数多い。その他大勢のライブオーディアアプリにユーザーの関心を引きつけるこめの特化したプログラムを持たないGreenroomは、iOSアプリのダウンロードがわずか14万1000回でGoogle Playはそれ以下だった。しかしSpotifyの同サービスに対する長期ビジョンは、Greenroomを、同社のフラグシップ・ストリーミング・アプリですでに提供されている音楽、アーティスト、プログラム、ポッドキャストとより密接に結びつけることだった。今回の新しい番組はその計画を実行に移した一例だ。

【更新:米国東部標準時2021年9月13日午後2時18分】Spotifyは発表の後、同社広報担当者は「スケジュール変更のため、The Get Up LIVEの公開を延期します。新たな公開日は近く発表されます」とTechCrunchに対して連絡、「The Get Up LIVE」の公開延期される。

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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