Stripeの10.4兆円もの評価額はどう考えたらよいのだろうか

The Exchangeの感謝祭特別エディションへようこそ。今回は簡潔に済ませる予定だ。しかし、話すことはたくさんあるので、静かにというわけにはいかない。

The Exchangeでは、Slack(スラック)とSalesforce(セールスフォース)の取引に対してはここで考察している (未訳記事)。昨日の朝食にパイを食べていて、見逃していたのなら追いついて欲しい。さて、残念なことに、私はなぜPalantir(パランティア)の株価が急騰しているのかが理解できない。普通なら私達はそれについて議論し、その上昇が未公開SaaS企業たちの下位層にどのような意味を持つのかを議論するだろう。しかし、その公開市場における値動きは人為的な上昇のように思えるので、私たちはただ待つことにする。

この気持の良い土曜日(米国時間11月28日)にお話ししたいのは次の話題だ。Bloombergによれば、Stripeが市場の価値を高めていて、その評価額は「700億ドル(約7兆3000億円)以上、または大幅に高い1000億ドル(約10兆4000億円)に達し得る」という。

いやあ、こいつはすごい。もしその価格だとするなら、計算方法にもよるがStripeは世界で1番または2番目に価値のあるスタートアップになるだろう。スタートアップという言葉は、それだけの価値のある会社のために使うべき奇妙な言葉だが、Stripeはまるで救命ボートのように非公開の状態にしがみついていて、外部の資金調達を続けている。おそらく利益よりは成長に重点を置いているようだ。そうしたテックスタートアップの特徴を保っていることを考えると、私たちはStripeをスタートアップと呼ぶことができるだろう。

だがそれは奇妙な話だ、なにしろ1000億ドル(約10兆4000億円)という評価額を考えると、Stripeには12桁(数千億ドル、数十兆円)の巨額の価値が生まれる可能性があるからだ。とにかくいまはそれで済んでいるという事実以外に、なぜStripeが非公開なのかを説明できる良い理由は見つからない。

とにかく、報じられているその価格は、正気なものなのだろうか?おそらくそうだろう。しかし、彼らにも彼らの理屈がある。ここしばらくの四半期における、堅調な支払い量を指し示している(未訳記事)、Square(スクエア)とPayPal(ペイパル)の収益を思い起こそう、これらはStripeの最近の成長の良い前触れとなっている。また、14カ月ほど前には、Stripeは「年間数千億ドル(数十兆円)規模のトランザクション」をすでに処理していた(The New York Times記事)。

現時点で興味深い計算を行うことが可能だ。たとえば2019年9月時点でのStripeの取扱量は2000億ドル(約20兆8000億円)だったが、現在は4000億ドル(約41兆6000億円)となっている。これを年換算の数字だと考えることにする。Stripeは1回のトランザクションに対して2.9%と0.30ドル(約31円)の手数料を請求する。まあここでは計算のシンプルさと控えめな数字を目的として、3%としておこう。計算してみると、その結果は120億ドル(約1兆2000億円)となる。

さあそうしてみると、同社の評価額が1000億ドルとなることも有り得そうだ(取扱高1500億ドル、約15兆6000億円)に対しての収益は45億ドル、約4675億円。そして、Stripeの粗利益率はSlackと同じではない。

こう見ると、Stripeの新しく噂される価格が、まったく荒唐無稽なものとは思えない理由が、徐々にわかってくるのではないだろうか。もしStripeの成長物語を信じているなら。その内容をさらに良いものと考えることができる。そして、世の中の競争相手たちも、そうした議論を支える材料となる。Squareの株式は2020年に3倍以上になった。PayPalの価値も2倍以上となってる。Adyen(アディエン)の株式はほぼ倍になった。これらは、新しい資本を調達し、積極的な価格を確保しようとしている最終段階のスタートアップに対する、公開市場からの援護射撃の一種だ。

まとめると、Stripeの噂される新しい評価額には合理的な裏付けが可能だ。それがいまだに非公開企業である点は不合理だが。

マーケットノート

その他のことなど

EdTechといえば、Equity(エクイティ)のNatasha Mascarenhas(ナターシャ・マスカレニャス)氏と私たちの勇敢なプロデューサーであるChris Gates(クリス・ゲイツ)が、教育技術市場に関する特別エピソードポッドキャストをまとめた。ここ(未訳記事)で聴くことができる。おすすめする。

カテゴリー:その他
タグ:Stripe

画像クレジット:Nigel Sussman

原文へ

(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。