Surviosの本格派VRファーストパーソン・シューティングゲームは一見の価値あり


もう一度このゲームをプレイしたくなる。仮想の弓矢を使ったり、ロボットをライトセーバーでなぎ倒して腕が痛い。ドローンのミサイルを避けたり、仲間を守るために動いて心臓がバクバクしている。次の可能性で頭がいっぱいだ。またこのゲームをプレイしたい。きっとそう思うのは私だけではないだろう。

これは仮想現実を開発するスタートアップSurviosが手掛ける「Raw Data」というゲームだ。今のところ最も先進的なVRのファーストパーソン・シューティングゲームかもしれない。会社のメンバーは3人で、5年間共にこの仕事に取り組んでいる。人々がどのようにゲームをプレイしたいかリサーチしたSurviosの結果がこのゲームに結集している。

今ある多くのVR体験とは違い、デモには感じない。既存の良いコンソールやコンピューターゲームのように、これは今日の夜、明日、来週にでもまた遊びたいと思えるものだ。SurviosはVRの可能性に圧倒されることなく、何が楽しいゲームかであるということを忘れずに追求している。

Raw Data_Screenshot_2

「良いゲームデザインには、達成感とリテンションの仕組みが働いています」とSurviosの共同ファウンダーでChief Creative OfficerのJames Iliffは私に話した。「ユーザー自身がまたレベルアップしたり、階級を上げたり、新しい武器を手に入れ、次のレベルに進むためにゲームに自然と戻ってきたいと思うように促します」。

そうやってSurviosはRaw Dataを制作した。

VRデモではない、これはゲームだ。

このゲームのストーリーは、悪に染まった企業が人間の脳を秘密裏に盗み出し、サイボーグに入れて販売することで利益を得ているという設定だ。ユーザーのゴールは彼らの本社に潜入し、企業の悪事を証明するRaw Data(生データ)を抜き取り、その本社から抜けだして、世界に真実を公表することだ。その証拠をダウンロードしている間にも、次々とロボットが攻撃してくる。

Raw Data_Pistol

HTC Vive VRヘッドセットと部屋の角に設置されたモーションカメラのおかげで、Raw Dataのゲーム内のおよそ4.5メートル四方の中を走り回ることができる。伏せたり、避けたり、コンピューター・ターミナルの影に隠れたり、敵に向かって突進することができる。

最初は腰に付けたピストルと背負っているライトセーバーを使うことができる。Viveの手持ち型モーションコントローラーを強く握ると、ゲーム内の武器を掴んでふるうことができる。トリガーを引くと銃を発砲したり、ライトセーバーを伸ばしたりできる。ボタンを押すと、流れる時間を遅くし、弾丸で敵の頭を撃ちぬくために照準を合わせることができる。

しかし、Raw Dataがこんなにも中毒的なのは、常に変わっていくからだ。毎回敵の襲来が一段落すると、新しい武器が手に入る。例えば、ポンプアクションのショットガンでは金属製照準器で照準を合わせるために手を一直線にしたり、弓矢では弓をセットして、引き、放つ動きをする。敵もゲームを進めるとより賢く、強くなっていく。最初は集団で襲ってくるロボットから進化して銃を持つ兵士ロボットや動きの速い忍者ロボットが襲ってくるようになる。

Raw Data_Screenshot_3

実際に腕を伸ばして、弓矢をセットし、引き、放つ。

そしてRaw Data内では1人ではない。友達もHTC Viveのプレイスペイスにいれば、共に戦うことができる。ヘッドセットで会話をしながら、戦略を練ったり、互いに助け合ったりすることができる。

Iliffは、このゲームは座って見るだけではない、「能動的なVR体験」と呼ぶものを構築しているという。ゲームにアクションを加えることで、「人の原始的な動機を呼び覚ますことができます。プレイするのにトレーニングは必要ないということです。人の自然で直感的な動きを利用しています」と説明する。

ゲームには、弓矢の使い方を教えるポップアップ画面はなく、現実世界と同じように生き残るためにはどうやって使うかを自分で考えなければならない。プレーヤー1、準備はいいか?

DIYからHTC Vive、そしてその先へ

数年前にSurviosが制作した Zombies On The Holodeckというゲームにも私は当時驚いた。これは彼らが、南カリフォルニア大学のMixed Reality LabでOculusの共同ファウンダーであるPalmer Luckeyと共に仕事をした後に制作したものだ。ロボットもカッコいいが、人間の脳を目当てに徘徊するゾンビには恐ろしさがある。今回のサイボーグにも刃物を持った手にするかで、早急に倒さなければならない感じを出すと面白いかもしれない。

Zombies On The Holodeck

Surviosの以前のゲーム「Zombies On The Holodeck」

このスタートアップはゾンビのゲームでどのハードウェアでも機能するゲームの制作を学んだ。大昔の2014年(VRの世界の時間の流れは速い)、ユーザーが歩き回れるようなフルモーションの仮想現実ゲームを作るためのプロ用システムはなかった。Surviosは動きを加えることでゲームをより面白くすることができると考えたため、自分たちで様々なものをつなぎあわせてそのシステムを制作した。その時は、位置情報をトラックするのにマグネットをたくさん入れたリュックを背負って、頭上にはカメラを載せなければならないものだった。

そこから進んで現在、SurviosはShasta Venturesがリードしたラウンドで420万ドルを調達し、チームも35人に増えた。その間、Oculus、Sony VR、HTCらは洗練したVRシステムを制作し、間もなく販売できるまでになった。Surviosは1つのプラットフォームに全てを賭けるのではなく、自社のハードウェアの知見を使って、3つ全てのヘッドセットにRaw Dataを届ける考えだ。

ヘッドセットのローンチ日が遅れていることもあり、それに合わせるのは簡単なことではない。何人がゲームを購入するのか、ユーザーがどれくらいの金額をゲームにかけるのか予測するのは難しい。SurviosはRaw Dataのゲーム価格を10ドルから25ドルの範囲で検討していて、ユーザーの反応を注視する予定だと言う。Iliffは、VRゲームは通常60ドルほどのコンソールゲームの10分の1の長さだが、それよりは数倍没入的な体験ができるので、20ドルくらいを妥当に感じていると言う。

Raw Data

VRヘッドセットのない人は、Raw Dataをコンピューターで広いアングルから観戦できる

誰もが高価格なVRヘッドセットを購入できないことから、Surviosは多くの人に知ってもらうための別の計画も立てているという。Raw DataのゲームをTwitch、YouTube Gamingや他のストリーミングプラットフォームを介してパソコンからでも多くの人が観戦できる仕組みを制作した。ファーストパーソンの視点でも、より広いアングルからでも観戦できるようになるという。

「VRヘッドセットがなくても、魅力的なVR体験を見せる方法を考えています」とIliffは説明する。ゲーム内でユーザーがロボットをライトセーバーで倒している様子を見た他の人もきっとこのゲームで同じように遊びたいと思うだろうと踏んでいる。一度遊んだら、またきっと遊びたくなるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。