Tesla は、電気自動車(EV)を年50万台生産する能力を持つ工場を建設することで上海市政府と合意した。
この工場は、Teslaにとって2カ所目の組み立てプラントとなり、成長著しい中国マーケットに対応するのが目的だ。Teslaと上海市政府は7月10日、協定に署名した。
Teslaは昨年、上海での工場建設の可能性について上海市政府と協議していると明らかにしていた。TeslaがGigafactory と名付けたこの工場の建設は、“必要な許認可が全て得られたら”始まる、とTeslaの広報はTechCrunchへのメールで述べている。
「工場建設から実際に車の生産が始まるまでにはおおよそ2年かかる。そこから、中国の顧客のために年50万台生産できるようになるまでには、さらに2〜3年かかるだろう」と広報は言っている。
工場建設に伴う投資がいくらになるのか、Teslaは概算を明らかにしていない。Model 3の生産ピッチを上げるのに資金をつぎ込んでいる状況にある中で、この点はTeslaにとって厳しいポイントとなる。
とはいえ、工場建設の合意はTesla、そして長期的視点で中国を重要なマーケットとしてとらえているMuskにとって画期的なことだ。また、中国政府とのジョイントベンチャーという従来の枠組みではなく、Teslaが単独で所有する工場という点も注目に値する。これまでは、外国企業が中国に工場を建設するには地元企業をパートナーとしたジョイントベンチャーを設立するのが常だったからだ。
中国の習近平国家主席は、海外の車メーカーに課してきたジョイントベンチャールールを2022年までに廃止する方針を示していて、Teslaはこのルール変更の恩恵を受ける最初の車メーカーの1社となる。
一方で、Teslaの工場建設は、中国と米国の間の貿易摩擦をさらに悪化させてしまうかもしれない。というのも、BMWやFord Motor、GMといった他メーカーと違ってTeslaは中国に工場を持っていないからだ。Teslaはカリフォルニア州フリーモントにある自社工場でEVのセダンやSUVを製造して中国に輸出するという形をとっていて、このため車には輸入税がかかっている。
中国政府は、トランプ政権が中国製品への追加関税を発動したのを受け、報復措置として米国からの輸入車への関税を40%に引き上げた。これにより、Teslaは中国で値上げを余儀なくされた。
「上海は、米国外では初のGigafactory設置場所となる」とTeslaのCEO、Elon Muskは発表文で述べている。「最先端をいく車製造工場となり、持続可能性という点でも手本となる。早期に完成することを願っている。上海の美しさやエネルギーには目を見張るものがあり、そこに我々の工場も加えたい」としている。
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(翻訳:Mizoguchi)