エンタープライズサービスの大手であるOracle(オラクル)がTikTokの米国事業を買収する入札に勝ったという情報が入ってきた(Wall Street Journal記事)。いち早く入札に手を挙げていたMicrosoft(マイクロソフト)は負けたことになる。TechCrunchは、TikTok、オラクルの両社に取材しているが、まだコメントを得られていない。
Wall Street Journalの報道によれば、オラクルはまもなくと「TikTokの米国における信頼されるパートナー」となったことを発表するという。 またこの記事によれば、事情に通じた情報源が「おそらくストレートな買収にはならないだろうと述べた」という。
オラクルがTikTokの米国事業を買収したのが事実であれば、同社の将来が不確かだった期間も終わりを告げる。この契約は買収先が決まらない場合、トランプ政権が運営を禁止する期限とした9月20日よりもはるか以前に実現した。
9月13日、マイクロソフトは「TikTokの米国事業を買収する申し出は親会社のByteDanceによって拒絶された」と発表した。
マイクロソフトはこの声明で「我々の提案はTikTokのユーザーにとって最もメリットの大きいものだったはずだと確信している。米国の安全保障を守りつつ、セキュリティ、信頼性、フェイクニュース対策などについて抜本的な修正を行う予定だった」と述べている。
「このサービスが以上のような分野でどのように対処していくのか今後の成り行きに注目している」とマイクロソフトは述べている。
事実、セキュリティに関する懸念はTikTokをめぐる諸問題の中でも最も深刻なものだった。TikTokはインドで「国防と安全保障上の懸念」を理由として他の中国関係アプリ58種類とともに禁止されている。インドはTikTok最大の外国市場だった。マイクロソフトに加えて、Twittter、Google、Walmart(ウォルマート)など有力テクノロジー企業がTikTokの米国事業買収に手を挙げていた。しかしTechCrunchのRon Miller記者が指摘したとおり、 オラクルがTikTokの買収にこれほど熱心になるにはそれなりの理由があった。巨大な市場シェアだ。テクノロジービジネスの分析を手掛ける Constellation ResearchのHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏がTechCrunchに説明したところによれば、どんなかたちにせよTikTokを確実なユーザーとして確保できれば、オラクルはインフラサービスとして極めて大きな利益を得るのだと言う
「TikTokのシェアはインフラサービスにとって非常に魅力的なものだ。またバイラルの効果が大きいことも見逃せない 。 マイクロソフトがTikTokを買収した場合売上に与える影響は2%から5%だろうが、オラクルの場合は10%のアップになる可能性がある」という。
エンタープライズサービス大手のオラクルが若者に人気のショートビデオプラットフォーム、TikTokを買収するという一見突飛な動きも、実は合理的な理由があったわけだ。しかしドラマティックな展開という印象は変わらない。
画像:Lionel Bonaventure / Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)