Twitterが支援するインドのソーシャルネットワークShareChatが4000万ドルを調達

英語ではない言語でのサービス提供に特化したインドのソーシャルネットワーク、ShareChat(シェアチャット)は木曜日、複数の投資家から4000万ドル(約42億円)を調達したと発表した。同社はここ数か月間で数千万人の新規ユーザーを獲得している。

バンガロールを拠点とする創業5年の同スタートアップによると、大手二輪車メーカーHero MotoCorp(ヒーローモトコープ)の最高経営責任者兼会長であるPawan Munjal(パワン・ムンジャル)博士、化学製造会社のDCM Shriram(DCMシュリラム)の会長であるAjay Shridhar Shriram(アジャイ・シュリダー・シュリラム)氏、既存の投資家であるTwitter(ツイッター)の他、SAIF Partners(SAIFパートナーズ)、Lightspeed Ventures(ライトスピードベンチャーズ)、India Quotient(インディアクオティエント)が新たなラウンドに資金を提供したとのことだ。

ShareChatの共同創業者であり最高経営責任者であるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏はこの新しい資金調達ラウンドは「プレシリーズE」であるとTechCrunchのインタビューで話している。TechCrunchの理解では、ShareChatは今後数か月で1億ドル(約105億円)以上の資金調達を目指すべく、現在複数の大手VCファンドや巨大企業と交渉している最中である。同社はこれまでに約2億6400万ドル(約278億円)を調達済みだ。

今回得た新しい資本金は、ShareChatがプラットフォーム上のクリエイターをより万全にサポートするために使用される予定だとサクデバ氏は述べている。同社は当時インドに約2億人のユーザーを擁していたTikTok(ティックトック)をインド政府が禁止した数日後の7月初旬、ショートビデオアプリMoj(モジ)をローンチしている。

インドでTikTokが禁止となった数週間後には数多くのスタートアップが国内でショートビデオアプリを立ち上げている。DailyHunt(デイリーハント)はJosh(ジョシュ)を、Times Internet(タイムズインターネット)のMX Player(MXプレーヤー)はTakaTak(タカタック)を発表した。しかしショートビデオアプリの中ではMojが明らかに優位性を確立している。

ShareChatによるとMojは月間8000万人以上のアクティブユーザーを獲得しており、ユーザーはプラットフォーム上で毎日約34分を費やしているとのことだ。

インドに存在する15の言語でサービスを提供するShareChatの看板商品であり、その名を冠したアプリそのものも「飛躍的な」成長を遂げている。月間アクティブユーザー数は現在1億6000万人。昨年同期の6000万人からはるかに増加している。同社によるとユーザーは平均して毎日約31分をアプリに費やしているという。

「ShareChatは今年驚異的な成長を遂げました」とサクデバ氏。ソーシャルメディア分野におけるShareChatの成長はインドのスタートアップエコシステムにとっては珍しいサクセスストーリーだ。

India Quotientのパートナーであり、ShareChatの初期からの支援者の一人であるMadhukar Sinha(マダカー・シンハ)氏は、「2015年にShareChatが不可能に挑戦していなければ、インドで独自のソーシャルメディアプラットフォームを成功させることができるとは誰も夢にも思わなかったでしょう。ShareChatの成功はインドのスタートアップ業界に大きな希望を与え、インドのインターネットエコシステムに大胆な動きをもたらそうとする起業家たちの意欲をかき立てくれました」と述べた。

またShareChatは今週はじめ、従業員株式所有制度(ESOP)に1400万ドル(約15億円)を追加し、合計額が3500万ドル(約36億9000万円)に達したと発表。これはインドのスタートアップではあまり見られない取り組みである。

ShareChatのような規模のスタートアップにとって、従業員が大切にされていると感じられる環境は非常に重要だとサクデバ氏は考えており、「弊社最大の競合相手は米国と北京のグローバルな同業他社です」と述べている。

サクデバ氏によると、今回の新たな資本金はAI機能へのさらなる投資や新製品の構築、音楽レーベルとのより深いパートナーシップの確立のためなどに活用されるとのことだ。TechCrunchが今年初め、ShareChatが人知れず「Jeet11(ジート11)」というファンタジースポーツアプリを立ち上げたと報じたのを覚えているだろうか。

サクデバ氏によるとJeet11は好評を得ており、ファンタジースポーツやショートビデオアプリ分野への進出が同社のスピーディな動きを体現していると述べている。

また、ShareChatはマネタイズの手段を固めるために広告主との連携も進めていると同氏。「各ブランドにとっては、ユーザーと非常に強く関わることができるという事実が大きなメリットとなるでしょう」。

まだ計画は初期段階ではあるものの、同社はインド国外への進出も考えているようだ。今日のShareChatのユーザーの何パーセントかはすでにインド以外の国に住んでおり、同アプリは国外に住むインド人ユーザーも惹きつけていると同氏は述べている。

「驚くことに初代バージョンのShareChatは、当初ビーンバッグチェアの上でレッドブルを飲みながらたった数日の間に制作されたものでした。そして5年後にはMojでも同じことが起きました。Mojの新時代が始まるにあたり、私たちは再びこのチームをしっかりとサポートしていきたいと思っています。Mojがインド全土、そして今後数年でインドを超えて成功すると信じています」とIndia Quotientのシンハ氏は言う。

  1. インスタグラムはインドでの月間アクティブユーザー数が約1億5000万人に達しているが、アプリのユーザーベースの半数以上がReels(リールズ)を使用しているかどうかは不明だ。
  2. 業界のプレイヤーの多くは、自社のアプリやポートフォリオのスタートアップのアプリ、競合他社のアプリのパフォーマンスを追跡するために、モバイルインサイト企業のAppAnnie(アップアニー)やSensor Tower(センサータワー)を使用している。我々もAppAnnieとSensor Towerのデータを頻繁に引用している。

AppAnnieによると、ShareChatは先月インドでの月間アクティブユーザー数が2000万人を切っている。TechCrunchが取材したスタートアップの創業者やテック企業の幹部らは、AppAnnieのデータは通常非常に信頼性が高いと太鼓判を押している。企業が公開している数字のほとんどはAppAnnieのダッシュボードに表示されているものと一致していると言ってほぼ間違いない。

しかし、多くのスタートアップの創業者から聞いたもう一つの点として、AppAnnieのデータからはしばしば小規模な都市や町において、かなりの割合のユーザーベースが抜けているという点がある。これがShareChatのケースに言えることだろう。

著者はサクデバ氏にこれに関して聞いてみたが、ShareChatをはじめとするインドの小さな都市で人気のあるアプリの多くは、AppAnnieのSDKをアプリに統合していないとのことだ。AppAnnieは開発者らがSDKをアプリに統合することにより、そのアプリやモバイル機器にインストールされている他のアプリのパフォーマンスを評価できるようにする仕組みである。

インドの小さな都市や村のユーザーにも人気があり、インドでは4億人以上のユーザーがいると謳うWhatsApp(ワッツアップ)の主張と反し、AppAnnieがWhatsAppのユーザー数を約3億3000万人と推定している理由はまさにこれなのだろう。

ShareChatが公式に公開している数字と、最も信頼性が高く広く利用されているサードパーティ企業が提供している数字との対比があまりにも大きいため、これについて言及すべきと考えたまでだ(ある業界幹部がAppAnnieの数字をTechCrunchにシェアしてくれた)。

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(翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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