Twitterの共同ファウンダー、ビズ・ストーンは新しい秘密プロジェクトJellyが目指すところを明かした。Jellyは画像と短文でソーシャルネットワークを通じて友だちに質問ができるモバイル・アプリだ。たとえばストーンはサンフランシスコで見かけてスナップした芸術作品の写真を添えて「これは何だろう?」と質問し、すぐに何十件もの回答が得られたという。
今朝(米国時間1/8)のローンチ後、ネットにはJellyに対する戸惑いと批判が渦を巻いている。これは主に、質問を短く制限し、問いかける相手もソーシャルネットワークでつながっている友だちという狭い範囲に制限するという仕組みが奇妙に思えることから生じたものだ。
しかしストーンにインタビューしてみたところ、Jellyに一見した機能以上の野心的でユニークが目的が秘められていることが判明した。Jellyが目指すところは単に知識を与えるQ&Aツールではなく、ユーザー間にエンパシー(共感、自己移入)を醸成することだった。
「Jellyは自分の周囲に自分を必要としている人たちがいることを日常的に感じさせる。それによって世界をより共感に満ちたものにする一助となる」とストーンは言う。
しかしJellyはもちろんQ&Aツールとしてもちゃんと機能する。たとえば今朝、こんな論理学の質問をしたところすぐに答えが返ってきた。
同様にファッション、旅行、インテリアなどの質問にも便利なツールだ。COOのKevin Thauの姪がアクリル絵画の技法について質問したところ、友だちの友だちのアートディレクターから回答があり、さらにその友達である人気テレビドラマのドクターハウスのGreg Yaitanes監督から感想が寄せられたという。
「スーパーでレジの行列に並んでいるような短い隙間の時間に気楽に使えるようなQ&Aネットワークにしたい。今は人口知能が大流行だが、単なる人間の知能ではなぜいけないのだ? なにしろ70億人もの人々がいるのだからそこには大量の知能があるはずだ」とストーンは言う。
しかしJellyの目的は「人間知能」による総合的な検索エンジンになることだけではない。ここではストーンが語ったとおりに引用するのがよいだろう。
非常に便利な検索エンジンを提供するという以外に、Jellyはエンパシーのサークルを作るのが目的だ。Jellyを日常的に使ううちにユーザーは「まわりには私を必要とする人がいるし、私はその人たちを助けてあげられるし、感謝してもらえる」と考えるようなる。うまくいけば、それがきっかけでユーザーたちがアプリの世界を飛び出して現実でも助けを必要とする人々を探し、手を差し伸べるきっかけになるかもしれない。そうしたすばらしいだろう?
なるほど、そう考えるとJellyの少々変わったフォーマットも納得がいく。自分の知っていることを教えるのは他人を手助けするもっとも容易な第一歩だ。Jellyはいったりきたりの長々しい議論ができないように仕組んである。求められているのは単刀直入な回答、それだけだ。
「世界のエンパシーを増大させる」というJellyの秘められた目的は野心的に過ぎるだろうか? しかしその発案者にはすでに世界を大きく変えた実績がある。偉大な実験として見守っていきたいと思う。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)