Uber取締役会、トラビス・カラニックの休職を検討――後任はガレット・キャンプか?

報道によれば、今日(米国時間6/11)、Uberはロサンゼルスで取締役会を開く。この8年のUberの歴史でも、もっとも重要な討議となる模様だ。

New York Timesの記事によると、最大の議題は、窮地に経つCEO、トラビス・カラニックを休職させるべきかだ。この問題に対する取締役会の態度は数ヶ月前に開始された元司法長官、エリック・ホルダーによる調査の結果に大きく左右されることになるという。

エリック・ホルダーの雇用者は有力法律事務所、Covington and Burlingで、調査の費用はUberが負担している。ホルダーのチームはここ数ヶ月で数百人のUber社員に面接し、同社の企業文化を明らかにしようと努めてきた。この調査は元Uberのエンジニアであった女性、スーザン・ファウラー・リゲッティが同社を批判した記事が大きな反響を呼び起こしたことがきっかけだ。ファウラーが執筆した記事はUber社内には性的差別とセクハラが蔓延していると厳しく指摘していた。

Recodeによれば、この問題を担当する取締役会小委員会はすでにホルダーの調査結果を読んでいる。メンバーはメディアの有力者、アリアナ・ハフィントンとビル・ガーリー、デビッド・ボーダーマンの3名で、ホルダーの調査の詳細は火曜日に社内に発表されるという。Recodeの情報源によると「大きなトラブルが連なる光景」が描写されているそうだ。

われわれはUberにコメントを求めているがまだ回答がない。しかし Wall Street Journalによれば、UberのCBO(最高ビジネス責任者)のエミール・マイケル(Emil Michael)は明日朝、辞任を発表するものと観測されている

マイケルは2014年後半以来、さまざまな批判を浴びてきた。Buzzfeedの記事によれば、ジャーナリストも出席しているディナーでマイケルはUberに批判的な相手のスキャンダルのタネを探すために調査会社を雇う件について真剣に話したという。この批判者には、シリコンバレーの著名なジャーナリスト、サラ・レイシー(Sarah Lacy)も含まれていた。

カラニックはTwitterでマイケルを厳しく批判したが、解任することはなかった。マイケルは ホルダーらのチームと並行して実施された別の調査(有力法律事務所、Perkins Coieによるもの)でも解任を免れた。Perkins Coieの調査はここ数ヶ月、人事部門に社員から提起された200件以上のいじめ、セクハラ、性差別などに関する苦情を調査していた。その結果20人の社員が解雇されている

Michaelが辞任することに対する取締役会の判断まだ明らかでない。しかしUberが次々に引き起こしてきた重大なミスや誤った行動の連鎖を考えれば取締役会がこれでが調査を打ち切ることになるかは考えにくい。

たとえば3月のNew York Timesの記事によれば、Uberは何年も前から法的紛争が起きている市場で規制当局を欺くためにプログラムを持っていたという。

先週はUberの幹部、エリック・アレクサンダー(Eric Alexander)が2014年にインドで女性乗客がUberのドライバーにレイプされたという事件で、被害者の医学的記録を不当に入手したことが明らかとなり解雇されている(被害者はUberを訴え、その後和解)。

またカラニックが2013年に社員向けに送った「社内での性的関係についてのガイドライン」も 先週公開されて批判された。

Uberとカラニックをめぐるこうしたネガティブなニュースはキリがないようだ。Uberは 長年に渡って敵対者の数を増やしてきた。Uberがこれ以上の泥沼にはまり込まないよう、抜本的な改革が必要だとする声は強い。

とはいえ、カラニックが永久にUberを離れるということは考えにくい。カラニックの同社に対する影響力はきわめて大きい。New York Timesも報じているが、カラニックは特別議決権株式により圧倒的な議決権を保有している。共同ファウンダーのガレット・キャンプ(Garrett Camp)、長年の腹心であるライアン・グレイブズ(Ryan Graves)も同様だ。両者とも取締役会のメンバーだ。しかしグレイブズは以前は同社の事業責任者であり、したがって人事管理部門もその責任範囲に含まれていた。

その他のUberの取締役にはガーリー、ハフィントン、ボーダーマンが含まれる。

New York Timesによれば定款上あと4人の取締役が任命可能だが、現在は空席だという。

人事管理部門の責任者としてUberの問題ある企業文化の形成に部分的にせよ責任があると考えられているため、グレイブズがカラニックの代理を務めることは考えにくい。

仮にカラニックが一時的にせよUberを離れることになれば、キャンプが後任となることは比較的容易だろう。もともとUberという共有経済の仕組を考え出したのはキャンプだった。またキャンプはスタートアップとベンチャー投資の世界で高い尊敬を受けている。キャンプはスタートアップ・アクセラレータのExpaを運営しており、StumbleUpon,の共同ファウンダーでもある(キャンプは同社を売却した後、再買収した)。キャンプの財産の主要な部分はUberの持ち分で、現在600億ドルから700億ドル程度の価値があるものとみられている。

キャンプにコメントを求めているがまだ回答がない(おそらくはロサンゼルスでの取締役会に出席しているのだろう)。いずれにせよカラニックの後任となればキャンプだろうとわれわれは考えている。

ともあれUberは大きな改革に直面している。さらに情報が得られ次第フォローしていく。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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