Uber CEOのTravis Kalanickがトランプ大統領の経済諮問委員会から離脱した、とするRecodeとNew York Timesの報道内容をTechCrunchが確認した。Kalanickは、SpaceX CEOのイーロン・マスクも参加している、昨年末に設立された諮問委員会で、アメリカ現地時間の2月3日にトランプとビジネスに関する議論を行う予定だった。トランプと直接仕事をするという彼の決断は多くの批判を浴び、Kalanickとトランプ政権の関係性は、少なくとも最近ソーシャルメディアで巻き起こっている#DeleteUberキャンペーンが発足した理由のひとつとなっている。さらにこのキャンペーンの結果、Uberは初めてライバルのLyftに、人気ナンバーワン配車アプリの座を奪われることになった。
諮問委員辞任のニュースは、Kalanickとトランプの関係性についての不満を公言する人もいた、UberユーザーとUberの従業員どちらにとっても良い知らせとなるだろう。New York Timesが入手した社内メールによれば、Kalanickは従業員に対して、諮問委員会への参加は「トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではない」が、「残念ながら」そのように受け取られてしまったと伝えたとされている。また、ニューヨークシティで活動するUberドライバーの独立組織は、2月2日にKalanickの諮問委員辞任を求める嘆願書を提出後、彼が実際にアクションをとったことに「励まされた」とTechCrunch宛のメールで語った。
移民規制に関するトランプの大統領令に対する反応として、Kalanickは2月3日の委員会で、件の大統領令についての懸念事項をトランプ自身に伝えるつもりだと以下のようにFacebook上で語っていた。
各国政府がそれぞれの移民規制策をとっている一方で、アメリカは建国当時から世界中の人々を迎え入れて、アメリカを彼らの新しい母国にするという政策をとってきました。つまり今回の大統領令によって、多くの無実な人々に悪影響が及ぶ可能性があります。私は金曜日にワシントンへ行き、トランプ大統領の初となる経済諮問委員会で、この問題を議題のひとつとして取り上げます。
既に諮問委員を辞任したため、もうKalanickは移民問題を委員会で取り上げることはできないが、2月2日に送られた社内メールで彼は「移民規制の大統領令や、大統領令が持つ私たちのコミュニティへの影響について、トランプ大統領と話をしました」と述べ、さらに諮問委員を辞任する旨をトランプに伝えたと記した。
以下がTechCrunchの入手した、従業員宛のKalanickの言葉だ。
「従業員の皆様へ
私は本日、移民規制に関する大統領令や、この大統領令によって発生する私たちのコミュニティにとっての問題点について、トランプ大統領と話をしました。さらに彼には、私が経済諮問委員会へ参加できないという旨も伝えました。同委員会への参加は、トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではありませんが、残念ながらまさにそのように受け取られてしまいました。本件に関して熟考を重ね、私たちの企業文化と照らし合わせた結果、特に関連性が高いと思われた項目は以下の通りです。
Inside Out ー Uber(もしくは私)がトランプ政権のアジェンダを支持しているという憶測によって、Uberの外にいる人のUberに関する認識と私たちの実態の間に、ギャップが生じてしまいました。
Just Change ー 私たちは、アクションを起こし続けることで、最終的に何かを成し遂げることができると信じなければいけません。移民規制に関してだけでも、私たちなりに貢献する方法はたくさんありますが、諮問委員であり続けることがその障壁になると判断しました。今回の大統領令によって、アメリカ中の人々が痛みを感じています。家族は引き裂かれ、移住希望者は海外に取り残され、アメリカはもはや移民を迎え入れる国ではなくなったのではないかという不安が強まっています。
移民や難民の受け入れは、アメリカ、そして正直に言うとUberの成功の鍵でもあります。私はThuanやEmilのように、より良い生活を手に入れようと、難民としてアメリカに移住した人々と直接一緒に仕事ができることを大変誇りに思っています。従業員の皆さんや皆さんの家族、さらには痛ましい経験をした何千人ものドライバーの皆様にとっては、つらい一週間であったとお察しします。
火曜日に皆さんから伺った質問やお話、さらにはドライバーの方々から伺ったお話をうけて、私は立ち直り『Be Yourself(自分らしくあれ)』という私たちが最も大切にする価値観のひとつを思い出しました。私たちが将来への希望を持って安心して自分らしくいられるように、私たちのコミュニティにいる移民の人権のために戦っていきましょう。
Travis」
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)