巨大グローバル企業Unileverが、会員にカミソリの刃を定期的に郵送するだけ、というサービスDollar Shave Clubを買収することによって、一挙にユニコーンを作り、それを自分のものにしようとしている。
今夜(米国時間7/19)の発表(Fortune誌の記事)によると、売上1300億ドルの多国籍消費者製品企業Unileverは、このスタートアップに、全額キャッシュで10億ドルを払うことを考えている、という。
このお値段が真実なら、eコマーススタートアップの買収としてはzulilyとWayfairに次いで三番目に大きい。
eコマースは投資家が尻込みしがちな分野だが、Dollar Shave Clubに投資し、ロックフェラー系VC Venrockの取締役でもあるDavid Pakmanによると、今この分野はきわめて活況だそうだ。
Venrockおよびその他大勢の投資家たちは、この買収により、ベンチャーとしての正当なリターンを獲得する。‘その他’の中の著名な投資家としては、Andreessen Horowitz, Battery Ventures, KPCBなどがいる。彼らは、今年のQ3で買収が認められたら、Dollar Shave Club(DSC)のこれまでの急速な成長(創業2012年)を支えたことの正当な報酬として、投資額の10倍のリターンを得ることになるだろう。
Unileverは数年前にDSCとのパートナーシップを求めたが、そのときは買収の意図はなかった。話がエスカレートして交渉がまとまったのは、突然である。UnileverはDSCに、同社の国際的な市場と流通チャネルへのアクセスを与える。
DSCは2012年の創業以来、男性用身づくろいビジネスでトップ企業への道を驀進し、昨年の売上は1億5300万ドル、来年は2億を計画していた。買収額の売上に対する倍率という点では、これはeコマースの買収史上、最大である。
Unilieverにとっては、DSCの320万の会員が魅力であり、同社はいわば、成長著しい顧客層への露出を増すことになる。
DSCは髭剃り用品があまりにも有名だが、ほかに男性用の洗顔、スキンケア、整髪製品も扱っている。
Unileverにとっては、DSCが抱える顧客データも価値がある。買収後もDSCのCEO Michael Durbinの地位はそのままにして、特別の役員人事は行わない模様だ。
DurbinはいわばDSCの顔、ブランドイメージそのものであって、広告にも出演している。買収後も、彼らはロサンゼルスのDSC本社に居続ける。
今、関係各社に対して取材中なので、もうすぐこの記事をアップデートしたい。