人気のリアルタイム3Dエンジンを開発しているUnity(ユニティ)が、米国時間9月10日、クラウドコンテンツデリバリー(Cloud Content Delivery)サービスを正式に開始した。エンジンとは独立したこの新しいサービスは、コンテンツ配信ネットワークとサービスとしてのバックエンドプラットフォームを組み合わせ、開発者のゲーム配布ならびにアップデートを支援する。ここでの目標は、Unityを利用する開発者(および他のゲームエンジンを利用する開発者)に、適切なコンテンツを適切なタイミングでゲームプレーヤーに提供するのに役立つ、ライブゲームサービスオプションを提供することだ。
Unityのプロダクト責任者であるFelix Thé(フェリックス・テ)氏が述べたように、ほとんどのゲーム開発者は現在標準的なCDN(Content Delivery Network)プロバイダーを使用している。だがそのことが意味しているのは、インストールとアップデートをよりダイナミックに自由に構成できるようにするには、自分たちでラストワンマイル(配信の末端部分)を作り込まなければならないということだ。または、ほとんどのゲーマーの証言を得られるように、開発者はゲームを大きなバイナリとして出荷することを選択することもある。その場合は、更新のたびにユーザーがその巨大なファイルを繰り返しダウンロードする必要がある。
「これは、新しいゲームコンテンツの適用が多少遅れてしまう可能性があることを意味します。なぜなら、必要なアップデートを実行することをユーザーに頼っているからです」とテ氏はいう。
新しいクラウドデリバリサービスはプラットフォームを問わず利用できるものの、チームは当面モバイルを中心に力を注ぐ。「私たちは、開始時に特定のセグメントに集中することを好んでいます。その後、どのように拡大していくかを決定していくことができます。現在、モバイルスペースには多くのニーズがあるのです 、他のものよりもずっと」とテ氏はいう。クラウドコンテンツデリバリーサービスの内容について説明するなら、例えば、開発者はどのバイナリをどのデバイスに送信するかを指定することができる。
標準的なCDNを使うことも1つの方法だが、テ氏がいうところの、ラストワンマイルデリバリーの部分で生じる開発者の苦労を、Unityは解決できると信じている。
「CDNを使うなら、コンテンツを手に入れることができるだけです。以上」とテ氏は語った。「しかし、もしそうだとしたら、ゲーム開発者としてビルドをテストしたい場合に、QAの準備は整っているでしょうか?これはまだQAの最中のものでしょうか?クラウドコンテンツデリバリーからダウンロードされるように割り当てたいビルドは異なっているかもしれませんよね。または米国向けにリリースする前に、カナダ向けに新しいダウンロード可能なコンテンツをソフトローンチしたいなど、どれも私たちのシステムを使えば実現できます。ビデオゲームを念頭に置いて作られたものなのです」。
チームは価格設定をシンプルに保つことにした。すべての開発者に必要なのは、下り料金と、ごくわずかなストレージ利用料金だ。地域ごとの価格設定もない。送信料は最初の50GBは無料で、次の50TBまでは1GBごとに0.08ドル(約8.5円)がUnityから課金される。なお50TBを超えた場合は0.06ドル(約6.4円)、500TBを超えた場合は0.03ドル(約3.2円)となる。
「私たちは、人びとがこれを見たときに『要するにどういう意味だろう?』と、心配しないようにしたいのです。そのためには料金計算ツールが必要です。実際にいくらコストがかかるのかをシミュレートする必要があります。しかし、開発者が素晴らしいコンテンツの作成に集中する必要があるという事実から、目をそらすことはしません」とテ氏は説明した。
このデリバリーサービスが、利用エンジンに依存しないことは強調しておく価値がある。もちろんUnityは、Unityエンジンを使って書かれたゲームのためにそれを使って欲しいと思っているが、それは必須条件ではない。これは同社の全体的な哲学の一部だとテ氏は主張する。
「私たちの使命は常に、開発を普遍的なものにして、何を選んだのかに関わらず、人びとが成功できるようにすることです」と彼はいう。「そして、ゲームの操作に関して言えば、通常ゲームエンジンの決定は、ゲームの操作が形として現れるずっと前に行われています。開発者の成功が、私たちが焦点を当てたいものの中心なのです」。
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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Unity
画像クレジット:Unity / Getty Images
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(翻訳:sako)