VALUが千葉功太郎氏から4500万円を調達、SNSを軸に継続的な関係性を築けるプラットフォームへ

個人個人が自分の価値を「模擬株式(VA)」として発行し、他のユーザーと取引できる斬新なサービスーー「VALU」をそのように紹介したのは、ベータ版がローンチされた翌日の2017年6月1日のこと。

ローンチ直後からインフルエンサーを始め続々とユーザーが集まり話題を呼んだ一方で、運営側が想定していた以上に投機的な使い方がされ、人気YouTuberの株式の大量売却騒動など問題も発生していた。

それ以降は誤解を招くとして「株式のように」という文言を削除。売却できるVA数を制限したり、短期的な売買ができない仕組みを取り入れたりなどルール作りを急ピッチで進めるとともに、社内の体制整備に力を入れてきたという。

そのVALUは7月24日、個人投資家の千葉功太郎氏から4500万円を調達したことを明らかにした。今回調達した資金を基にプロダクトの開発体制を強化する方針。現在iOSアプリの開発も進行中で、使い勝手を改善させながらさらなるグロースを目指す。

なお同社は昨年にも千葉氏から資金を調達をしているほか、過去にクリエイティブエージェンシーのPARTYや堀江貴文氏からも出資を受けている。

改めてVALUについて説明しておくと、同サービスは各ユーザーが自身のVAを発行し、売り出すことを通じて支援者(VALUER)を集めることのできるプラットフォームだ。VAの取引にはビットコインを用いる。VAには優待を設定することも可能。現在のユーザー数は約10万人、そのうち約2万人がVAを発行している。

ローンチ時には投機目的のユーザーが多かったが、それから約1年が立ちユーザー層にも少し変化があるようだ。現在は仮想通貨が好きな人や純粋に誰かを応援したいという人が利用者の中心。VAの発行者に関しても当初はインフルエンサーの存在が際立っていたが、今は色々な分野のクリエイターが増えてきている。

この1年で変わったのはVALUの中だけではない。「評価経済」や「信用経済」といったキーワードが徐々に浸透し始め、「タイムバンク」など個人の価値や信用に着目したサービスが台頭してきた(コミュニティやグループの価値に着目したサービスも同様に)。

その中でVALUの軸になっているのは、SNSをベースとしてVAの発行者と支援者が継続的な関係性を築けること。

「ファンクラブ会員権にも近いと思っている。(タイムラインを通じて)ユーザーに対して独自の情報を公開したり、その中で相互のコミュニケーションを楽しんだり、そういった空間を目指したい。イメージとしてはFacebookとTwitterの中間のようなコミュニティ。友達でもなくフォロワーでもなく、自分を応援してくれる特別なファンがついて、その人達と関係性を築ける場所にしていきたい」(小川氏)

小川氏の話を聞いているとオンラインサロンないし、「pixivFANBOX」のようなプラットフォームとかにも方向性としては近いのかなとも思ったけど、そことの違いは支援の仕方がポイントになるようだ。

具体的には上述したようなサービスは月額○○円のようなサブスクリプション型。VAを購入して(保有して)支援をするVALUとは形式が異なり、それによって発行者や支援者の捉え方や使い方も変わってくるという。

小川氏によると、徐々にVALUならではの新しい使い方も生まれているそう。例えばあるフリーランスのイラストレーターは、自身のコミュニティで出会ったアーティストのCDジャケットのデザインを担当。その報酬をお互いのVAを持ち合うことで支払う、といったことがあったのだとか。

今後もVALUでは軸となっているSNSの機能を中心にプロダクトを改善していく計画。冒頭で触れたアプリの開発も含め、今以上に発行者による情報公開や支援者とのコミュニケーションが取りやすいプラットフォームを目指していくという。

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TechCrunch Japan

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