毎日々々、大量のスタートアップたちのピッチ(pitch, 売り込み)に接していると、あなたの生きる意志計の針はたちまち、“いますぐ死にたい”を指すだろう。自分がVCだと想像してみよう。その日の15番目のピッチが始まるころには、疲労と眠気に支配され、真剣な関心を持てなくなっている。むしろ、ピッチのスライドデッキをチャットボットに与えてフィードバックと提案をさせ、有望な投資先を決められたら、便利ではないか。それをやろうとしているのがAIVC、VCを演ずるAIだ。
自動化されたピッチは意外と楽しいかもしれないが — ここで早くもネタバレを— でもすぐに、すべてがジョークであることに気づくだろう。
このボットの作者は曰く、“うちも初期段階のスタートアップを対象とするVCだけど、今のVCの世界は、他に依存しない優れた分析的視点よりもむしろ、自分もバスに乗り遅れたくない焦(あせ)り根性と、既知のパターンへの当てはめ主義に支配されている。この世界は、投資を得たい根性だけが先走っているファウンダーたちで混雑していて、優れた起業アイデアはめったにない”。
これもまたジョークだけど、優れたお笑い芸がそうであるように、事の本質を突いている: 標準的なパターンにフィットしていないファウンダーが資金を調達するのはとても難しい。– パターンよりもそういう問題を議論すべきだろう。
スタートアップへの投資にも、データがますます重視されるようになった。いまどきの超高頻度トレーダー(high-frequency trader, HFT)は、自分の頭や心ではなく、アルゴリズムとデータだけに頼っている。スタートアップ投資の世界でも、データサービスへの関心が高まり、MattermarkやAngelList、本誌のCrunchBaseなどがよく利用されている。VCの投資がAI駆動になるのは、時間の問題かもしれない。金額の決定と実際の出資も、AIがやるようになるかもしれない。
冗談はさておき、スタートアップの世界だけでなくVCの世界は、今後どのようにテクノロジーが浸透していくのか? 読者のお考えを、下のコメント欄でお伺いしたい。