VCの投資先管理を簡単にする「FUNDBOARD」が事業会社や個人投資家向けにもサービス開始

投資家向けの未上場株の管理ツール「FUNDBOARD」を開発するケップル。同社は10月25日より、これまでベンチャーキャピタル(VC)に特化して提供していたFUNDBOARDの対象を拡大し、事業会社および個人投資家も利用できるようにする。

FUNDBOARDはスタートアップと投資家のコミュニケーションを効率化することを目的として始まったサービスだ。2017年7月にベータ版をリリース後、ユーザーからのフィードバックも踏まえてデザイン面などのアップデートを実施。まずは投資家用の正式版を2018年8月よりVCに対して提供してきた。

特徴はこれまでエクセルやドロップボックスなど複数のツールやファイルに散らばっていた投資先に関する情報を、一元的に管理できること。

各投資先に「投資済」「投資検討中」などステータスを設定したり、事業ドメインや紹介ルートなどタグをつけて整理することが可能だ。面談の内容、投資委員会議事録、日報といったレポートや多数の投資先から受け取ったファイルも全て投資先ごとに紐づいて格納されていくので、複数の場所に散らばって「重要なファイルがすぐに見つからない」といったこともない。

サービス上から投資先に対してファイルの提出や受け取り依頼をする機能(投資先の担当者に一時URL付きのメールが送信され、FUNDBOARDのユーザーじゃなくても閲覧できる仕様)や、投資実績として株価、保有株数、発行済株数などを登録することでポートフォリオをグラフ化する機能も備える。

VCや事業会社など属性によって若干プランの違いはあれど、これらの機能を現在は1ユーザー約1万円ほどのユーザー課金モデルで提供している。

ケップル代表取締役の神先孝裕氏によると、ローンチから約2ヶ月半でだいたい15ファンドほどに導入されているとのこと。エクセルなどでは大変だった投資先の情報管理を、タグなども使いながら柔軟に整理できる点に1番価値を感じてもらえているという。

「(各VCが)登録する投資先件数が想定していた以上に多かった。たとえば投資済みの案件は十数社でも、実際に繋がりのある起業家のリスト自体は何百件とかそれ以上になることもある。そのリストや関連するファイルを管理するのはかなり大変なこと。それがシンプルに整理でき、かつ各投資先に紐づけてメモやレポートも残せる点が好評だ」(神先氏)

本日より事業会社向けにも正式に提供を始めるにあたって、関連会社や子会社の管理を行える機能を追加。また組織全体およびメンバー単位で投資検討の進捗管理を行える「投資検討管理機能(パイプライン機能)」も導入した。

この機能では検討中の投資先ごとに投資予定日や予定額、投資ステップを管理することができ、集計された内容はグラフ化される。投資予定額を含めた投資総額が月単位で出力されるので、半年先までの投資予定額と投資余力を把握できるほか、各担当者ごとに抱えている案件の進捗を見える化することも可能だ。

「継続的に投資をしているVCや複数人の担当者がいるVCでは、直近で誰が何件の案件を抱えていて、それぞれがどんなステータスなのかを見える化することが重要。たとえば3ヶ月後に全体でどのくらいの投資をする予定があるのか、どのくらいの投資余力があるのか目処をつけたいというニーズは多い」(神先氏)

このパイプライン機能はVCなどと話をしていても、よく聞かれることの多かった機能なのだそう。FUNDBOARDの導入を進める際にも、この機能がひとつのポイントとなってセールスフォースと比較されることも何度かあったのだという(セールスフォースではパイプラインの管理ができるため)。

FUNDBOARDでは今後も投資家向けの新機能を追加していく予定。加えて2019年の上旬を目処にスタートアップ向けのサービスも提供していく計画だ。そのタイミングで現在は投資家ユーザーが手入力しているような情報が自動でアップデートされるような仕組みを取り入れ、両者間の情報管理やコミュニケーションの負担を削減していきたいという。

「そういった世界観を実現するためにも、まずは投資家向けに手入力でも十分便利で価値のあるプロダクトをしっかりと作りこんでいきたい」(神先氏)

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TechCrunch Japan

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