2014年良くも悪くもネット界隈を騒がせたバイラルメディア。その運営を行う1社が資金調達し、新事業に注力するという。バイラルメディア「ViRATES」を運営するまさかは1月26日、独立系ベンチャーキャピタルファンドのANRIから3500万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また金額は非公開だが、元アエリアCFOでスタートアップの支援や投資を手がける須田仁之氏も同社に出資している。同社はこの調達に先駆け、親会社だったブレイブソフトからMBO(経営陣による株式買収)を実施している。
調達した資金はViRATESの運営ではなく、新たに取り組んでいる動画事業にあてる。ちなみにViRATESは現在約月間2000万ページビュー、アプリ版のページビューは全体の半分程度、1日3回訪問するようなヘビーユーザーも多いという。2014年秋からはネイティブ広告を手がけ、ナショナルクライアントを中心に案件も増えてきているとのこと。
新事業で手がける動画は、「YouTuberとテレビ局の中間に位置する」というものなのだそうだ。まさかではすでにテレビ番組の構成作家やフリーのディレクター、編集、出演者など十数人をネットワーク化しているそうで、彼らの制作能力が何よりの強みになるという。同社にジョインしたイセオサム氏も日本テレビの出身で、その後にハロやオモロキの役員を務めている人物だ。
今後は1日1本、おおよそ3〜4分のコンテンツを定期的に配信していき、5月には1日10本配信の体制を目指す。試験的に作成した動画はViRATESのYouTubeチャネルにアップしているが、今後は各種動画プラットフォームにアップロードしていく予定。新サイトも立ち上げるほか、ViRATES事業と分けるため、名称変更も検討中だという。
コンテンツの内容についてはまさか代表取締役の孫良氏は、「テレビ局にはさまざまな規制があって、テレビではできないような面白い企画はいくらでもある」と語る。もちろん法に触れないように配慮するということだったが、90年代に「アポなし取材」で世間を沸かせた日本テレビの「進め!電波少年」や、世界展開する動画メディア「VICE」などをコンテンツの例に挙げているので、それなりに過激なエンタメだったり、オピニオンがあるものだったりを考えているようだ(今は巨大プリンを作ったり、アイドルがミル貝を調理したりというバラエティ的なコンテンツが並んでいるが)。
ただし、最近増えているマルチチャネルネットワーク(MCN)やUUUMをはじめとするYouTuberプロダクションのような動きは考えていないそう。「個人のYouTuberを支援するような動きは出てきているが、我々はそこはやらない。テレビ番組のプログラムを作るのに近い動きになると思う」(孫氏)。将来的には動画広告での収益化を図る。