Visaがデジタル化促進で銀行とフィンテックの協業を促すプログラムを拡大

銀行とフィンテックの関係は多面的だ。

あるときには彼らはパートナーだ。しかし別のときには片方が相手を買収したり投資したりする。

そして米国時間5月26日、決済大手のグローバル企業Visa(ビザ)による発表は、銀行とフィンテックの協業能力を促進することを目的としている。

具体的には、Visaは金融機関に「精査、そしてキュレートされた」テクノロジープロバイダーを迅速につなげるためのプログラム「Visa Fintech Partner Connect」を拡大したと発表した。

それが正確に何を意味するのか、筆者は同社のシニアバイスプレジデントでフィンテックグローバル責任者のTerry Angelos(テリー・アンゲロス)氏に話を聞いた。

「2020年のグローバルフィンテック投資は1050億ドル(約11兆4620億円)でした」とアンゲロス氏は話した。「ベンチャー、PE、M&Aの案件が2861件ありました。文字どおり1000億ドル(約10兆9160億円)超がフィンテックに向かっています。この額は米国の銀行のテクノロジー関係の予算の合計額を上回ります。その結果、フィンテックで起こっているイノベーションの多くがベンチャー資金によって賄われています。Visaはそのイノベーションを当社の顧客である銀行や処理業者、他のフィンテックに持ってこようとしています」。

このプログラムは2020年11月にまず欧州で始まり、現在は米国、アジア・太平洋、南米、CEMEA(中欧・中東・アフリカ)で展開されている。Visaは同社のクライアントの銀行や金融機関、そして他のフィンテックが「コストをかけずに、そしてバックエンドテクノロジーを自前で構築する複雑さをともなわずにデジタルファーストのエクスペリエンスを創り出す」ことをサポートできるフィンテックの発掘に取り組んできた。

それぞれの地域でローカルのチームがプログラムを運営し、口座開設、データ統合、分析・セキュリティ、顧客エンゲージメント、新規カード顧客サービス、オペレーションとコンプライアンスの部門のパートナーを調査し、管理する。

アンゲロス氏によると、これまでのところVisaはバックオフィス機能から新しいフロントエンドサービスに至るまで、さまざまなテクノロジーを提供するパートナー60社を特定した。Alloy、Jumio、Argyle、Fidel、FirstSource、TravelBank、Canopy、Hummingbird、Unit21などが含まれる。うち24社は米国企業だ。

「フィンテックが注力し、カバーしている多くが既存の銀行をディスラプトすることについてです。PayPalのようなフィンテックも含め、誰もが誰かをディスラプトしようとしています」とアンゲロス氏はTechCrunchに語った。「ベンチャーの数はもちろんかなり大きなものです。我々が認識しているのは、ベンチャーが支援している企業を当社の既存の顧客とペアリングする多大な機会があるということです。あなたが通常耳にする、我々vs彼らというアプローチとやや反対のものです」。

Visaの顧客はVisa Partnerウェブサイトを通じてプログラムパートナーと連絡を取り、実行費用の割引や値引き価格といった恩恵を受けることができる。

「Fintech Connectプログラムは興味深いフィンテック企業を特定してキュレートし、その後顧客がそうしたFintech Connectパートナーと関われるよう魅力的な商業提携をつくりだすのをサポートします」とアンゲロス氏は話した。

それで、Visaはそこから何を得るのか。

「当社の目標は、すべての顧客がより良いデジタルエクスペリエンスを消費者のために構築できるようにすることです。すべての銀行が顧客の役に立ち、デジタルエクスペリエンスを構築するための最新のツールを持っていればすばらしいと思います」と同氏は語った。

例えばパートナーの1社はバーチャルカードスタートアップのExtendだ。

「TripActions、Ramp、Divvyなど今日バーチャルカードを提供するフィンテック企業はあります。しかしVisaがしようとしているのは、『どうやって当社の銀行顧客に同じようなことをさせられるだろうか』と検討することです。ですので当社は誰もが利用できるよう、我々のエコシステムにイノベーションを持ち込んでいます」とアンゲロス氏は説明した。

これは例えば攻撃があっても動じない体制のための補完的なテクノロジーを持つTripActions、Ramp、Divvyといった企業もサポートする。

「純粋な受益者はうまくいけばそうしたレールに乗っているものにさらに支出しようとします。例えばB2B支出額は年間約120兆ドル(約1京3100兆円)です。うち20兆ドル(約2180兆円)にカードが使えると考えています。今日当社はそのうちの1兆ドルを扱っています。ですので、当社の顧客の銀行やフィンテックがB2B決済を可能にするこうした種のソリューションを構築できれば、残り19兆ドル(約2070兆円)をVisaはパートナーを通じて取りにいけます」。

はっきりさせておくと、Visaは時々スタートアップに投資もする。このイニシアチブはそうした取り組みとは異なるが、パートナーの数社はVisaから投資を受けている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Visa投資

画像クレジット:Kursad / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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