VISAとMastercardが、Bitcoinを始めとする暗号通貨のクレジットカードによる購入を難しくした

【編集部注】著者のJustin Mauldinは、 Salient PRの創業者であり、暗号通貨の投資家である。

先週のいつごろからか、Bitcoinの投資家たちは銀行取引明細書に載せられた追加料金に気付き始めた。VISAとMastercardの両者がそのネットワーク上で、Bitcoinやその他の暗号通貨(仮想通貨)の購入方法を再分類することを決定(なんともはやお気軽なことだ!)したことが明らかになった。このような出来事は、暗号化業界に短期的な課題を課すだけでなく、既存勢力が如何にこの状況を恐れているかを示すものだ。

現在、Bitcoin、Ethereum、その他のアルトコインを即座に購入したい場合には、デビットカードまたはクレジットカードを使用することが唯一の選択肢だ。銀行からの振込は、手数料は安いものの、数日を必要とする。Coinbaseは、即時購入のためにデビットカードとクレジットカードの利用をずっと受け入れていたが、購入者に対して標準的な4%のクレジットカード取引手数料を課していた。

それが今、VISAとMastercardは、Coinbaseのクレジットカードによる購入がネットワーク上で処理される方法を、静かに再分類したようだ。現在Coinbaseの取引(そしておそらく、他のすべての取引所も同様に)は、「購入」ではなく「キャッシングサービス」とラベリングされるようになっている。手数料は取引所によって異なると思われるが、これが意味することは、クレジットカードを使用すると、既にCoinbaseによって課されていた4%のクレジットカード取引手数料に加えて、更に5%の手数料がクレジットカード業者によって課金されることになる。

さらに悪いことに、キャッシングサービスには、消費者が他のクレジットカードによる購入では期待できるような、標準的な無利息の猶予期間が与えられない。Coinbaseの購入が完了した瞬間に、取引は成立し日々利息が積み上がっていく。もしそれでも十分に悪くないと言うならば、キャッシングサービスになることによって利率が高くなるのだが、それはどうだろうか。あるケースではそれは驚くべきことに、25.99%にも達する。最後に、一部の消費者にとっては同じくらい重要だが、これらの購入はクレジットカードポイント獲得の資格を喪失しているのだ

たとえば、VISAやMastercardのクレジットカードを使用してCoinbaseで5000ドル分のBitcoinを即時購入すると、その結果およそ500ドルの手数料と利子が必要となる。ほとんどの人にとって、手数料で投資額の10%を失うということは、クレジットカードを使って暗号通貨を買うという手法が事実上終了したことを意味する。これによって、投資家が自らBitcoinやその他の暗号通貨を購入することは、更に難しくなるだろう。ACH(Automated Clearing House:米国の小口決済ネットワーク)を介して資金を移転するには、3〜5営業日かかる。暗号通貨の価格がどちらの方向にも大きく変動する可能性がある世界では、1週間は気の遠くなるほど長い時間だ。

昨夜、Coinbaseは、顧客への電子メールの中でこの変更を明記し「デジタル通貨購入のMCCコードが多数の主要なクレジットカードネットワークで変更されました」と書いた上で、この先銀行ならびにカード発行会社から「追加のキャッシングサービス手数料」がかかる可能性があると続けている。コメントを求められたMastercardの広報担当者は、このように述べている:「過去数週間に渡って、私たちは加盟店管理業者(アクワイアラーあるいは銀行)に対して、この種の取引(暗号通貨購入)に利用するための、適切なトランザクション、あるいはMCCコード(merchant category code)についての立場を明らかにして来ました。これにより、加盟店とイシュアーの両方に対して、この種の購入に対する一貫したビューを提供することができます 」。

何よりこの変更は、短期的には事態をさらに複雑にする可能性がある。当局も既に、Bitcoinが「何ものか」に関して混乱している:IRSは既にBitcoinは「通貨ではない」と明言し、それを課税対象財産として扱っているにもかかわらず、今やクレジットカード会社たちは、Bitcoinの購入がATMから現金を引き出す行為と同じだと言うのだ。

両者が同時に成り立つことはない。Coinbase(おそらく他のすべての取引所も同様)を再分類することで、VISAとMastercardは、人びとが暗号通貨に投資する行為を、より困難に、より遅く、そしてより高くつくものにするために、全力を尽くしているのだ。クレジットカード会社たちは、取引に追加の課金を行うことで、bitcoinへの投資の急増を押し止めることが、彼らの利益に叶う行為だと考えている。多くの点で、それは真実だ。Bitcoinや暗号通貨の将来的な増大は、最終的にはVISAやMastercardのような金融仲介者の崩壊に結びついているからだ。おそらく彼らは目を覚ましたのだ。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: BRYCE DURBIN

投稿者:

TechCrunch Japan

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