VRで事前学習してから作業する公共トイレ用掃除ロボ

オートメーションにおける3つの「D」について聞いたことがあるだろう。Somatic(ソマティック)のロボットは、そのうちの2つを容易にクリアしている。「Dangerous」(危険)については少々無理があるかもしれないが、このロボットは一般に「Dirty」(汚い)とか「dull」(苦痛)と考えられている仕事を取って代わることに特化している。

なぜかニューヨークに拠点を置くこのスタートアップは、UCバークレー大学で開催されたTechCrunchの「Robotic + AI」カンファレンスのステージ上で、実質的にステルス状態からカミングアウトした。最初のプロダクトは、大型公共トイレ用の掃除ロボットだ。ちなみに同社は、チームは少人数で地理的に離散しており、恒久的な居場所を探している。

CEOのMichael Levy(マイケル・レヴィ)氏は、この装置を「小型冷蔵庫の前面にロボットアームをつけたもの」となぞらえる。CTOのEugene Zesoba(ユージン・ゼソバ)氏とふたりで会社を共同設立したレヴィ氏は、祖父のレストランで長年叩き上げた経験に基づき、トイレ清掃ロボットを開発することを思いついた。

「若い頃は実にいろいろな仕事をした。レジ係になりたければトイレ掃除から始めなくてはいけない、と祖父に言われた」とレヴィ氏は言う。「トイレが適用分野として最適なのは、あらゆるものが床に固定されていること。モノの動きはすべて予測できる。1994年以降に作られたトイレはすべてADA(米国障害者法)に準拠している。ロボティクスにとってありがたいことに設計は規格化されている」。

ほとんどの公共トイレの設計が固定化されていることは、ロボットが一度学習するだけでよいことを意味している。現在開発チームは遠隔で作業を行い、トイレのVRシミュレーションを使って、どこに薬剤をスプレーしてモップをかけるか、吸引し、乾燥させればよいかをロボットに教えている。チームはこの作業を、愛情を込めて「史上最悪のビデオゲーム」と呼んでいる。すべて準備が整ったら、ロボットはライダーなどのさまざまなセンサーを用いてトイレの中を動きまわる。

ロボットはトイレの清掃を終えると充電し、必要に応じて薬品を補給する。1日に約8時間の清掃が可能で、ドアを開けたりエレベーターに乗ってビルの中を移動することもできる」とレヴィ氏は言う。

主要なターゲットは空港、カジノ、オフィスビル、その他大型のトイレのある場所だ。ロボットは月額約1000ドルでリースされ、事前のトライアル期間もある。Somaticにはすでにいくつか顧客がついており、FAANG(Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Netflix(ネットフリックス)、Google(グーグル))の中にもすでにロボットが清掃している会社がある。

初期モデルの開発では、5万ドル(約536万円)のブートストラップ型ファンドの支援を受け、そこにSomaticが30万ドル(約3200万円)を追加し、うち15万ドル(約1600万円)はアクセラレーターのSOSVから調達した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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