オフィスなどの仕事場のために、カスタムメイドのプレファブ素材を提供しているDIRTT Environmental Solutionsが、仮想現実(virtual reality, VR)を娯楽ではなく企業目的のために利用する企業の、仲間入りをした。
今週シカゴで行われた建設産業の例年のトレードショーNeocon 2016で同社が披露したICErealityが、そのVRソフトウェアだ。そう、今週は、AppleのWWDCやビデオゲーム業界のE3カンファレンス以外にも、見るべきものがあったのだ。
DIRTTは、顧客のニーズを満たして、スタイルが良くて、しかもエコなワークスペースを建築家やデベロッパーやファシリティマネージャーやインテリアデザイナーたちが作れるための、素材を提供したい、と願っている企業だ。
そのための彼らの工程は、デジタルの青写真をDIRTTのクラウド上のデザイン/プランニングソフトウェアICEを使って作ることから始まる。そしてICErealityは、この段階で利用される。それはこの秋に一般公開の予定だが、今は招待制のベータで少数のユーザーに提供されている。
ICErealityはデザイナーや実際にその仕事場を使う人たちに、これから内装工事をしていくスペースの上に、そこに配置するいろんな要素の仮想的な三次元画像を重ねた映像を見せる。彼らは、カウンターや特注のドアや間仕切りや窓、ブラインド、家具などが、どんな感じでそのスペースに収まるかを、実際に見て検証できる。
そのデモビデオがここにある。このビデオでは、DIRTTが空のステージの上にキャビネットやカウンターを(仮想的に)作っている。(2:20のあたり):
ICErealityは、部屋のデジタル部位(家具など)の形を、ビデオにぴったり合うように翻訳する。そうするとユーザーは、それらの新しいプレハブ部位が実際に部屋に置かれたとき、どんな感じになるかを事前に理解する。
DIRTTの協同ファウンダーでCTOのBarrie Lobergによると、ICErealityはOculus RiftやHTC ViveのようなVRヘッドセットで使うとさらに没入的な体験ができるが、スマートフォンやタブレットでも使える。
まだ完全な画面描画が行われないので、テキストや情報がビデオにオーバレイされる。DIRTTによれば、これはVRでもARでもなく“混成現実(mixed reality)だ、という”。
彼曰く、“ユーザーがデザイン変更などをリアルタイムでできて、結果をすぐに見られるから、従来の3Dのシミュレーションより良い。望み通りのデザインが完成したら、それをそのままオーダーできる”。
Lobergの展望は、このような良質なデザインツールにより、高価につくミスや途中変更を防げることだ。これまでは、もう変更はできない!という、あまりにも遅すぎるタイミングで大きな変更を要請されたりしていたのだ。