開発ツール会社ChefのCEOが態度を急変、移民・関税執行局の契約を更新しないと発表

先週金曜日の920に、米国移民・関税執行局(ICE)との9万5000ドルの契約を遂行すると明言した開発ツール会社ChefのCEOであるBarry Crist(バリー・クリスト)氏は、 態度を急変させICEとの契約は更新しないと米国時間9月23日のブログ記事に書いた。

「社内で慎重に反省・検討した結果、ChefはICEおよびCBP(税関・国境警備局)との契約を来年の満了後に更新しないことを決定した。現在の契約下の責任は全うする」とクリスト氏はブログに書いた。

さらに同氏は、9月20日にTechCrunchに話した固い決意と思われた立場を撤回したことにもなる。「これは我々が長い時間をかけてきたことであり、社内には意見の違う人たちもいるが、私は会社のリーダーとして経営チームとともに、これまで仕事を続けてきた相手との契約と関係を尊重する決定を下した」と当時クリスト氏は話していた。

本日クリスト氏は、契約に対する社内の強い反対の気持ちが彼の決断につながったことを認めた。この契約は2015年にオバマ政権下で始まったもので、国土安全保障省(DHS)におけるプログラミング方法を近代化することが目的だった。しかし、後にICEによる家族の引き離しや国外退去政策が非難の的になると、契約の終了を求める声が内部から(後に外部からも)持ち上がった。「家族引き離しや拘束といった政策は(契約当初には)存在していなかった。私も個人的にはこれを含む関連する政策には反対だが、多くの社員の進言にもかかわらず、態度を改めなかった。そのことを深く謝罪する」とクリスト氏は書いた。

さらに同氏は、この契約で得た売上を、当該政策の被害を受けた人々を支援する組織に寄付する意思も表明した。これはSalesforceが取った対応に似ている。昨年同社では、税関・国境警備局(CBP)との契約に対して618人の社員が抗議した。Salesforceはそれを受け、被害を受けた家族を支援する組織に100万ドルを寄付した。

先週のツイートで契約が暴露されて以来、ソーシャルメディアでは抗議運動が始まり、プログラマーのSeth Vargo(セト・バーゴ)氏が契約に抗議してオープンソースコードの一部をリポジトリから削除する事態にまで発展した。Chef社は社内外の抗議行動や数多くの非難をよそに、この契約の締結をつよく主張していると見られていた。

バーゴ氏はTechCrunchのインタビューに答え、彼はこれを道徳的問題であると話した。「ChefCEOは公式にこのような回答をしているが、自分たちのソフトウェアがどのように何の目的で使われているかを判断し、自らの道徳的指針に沿って行動することは企業の責任だと私は考えている」と彼は言った。クリスト氏はこの視点に合わせて意見を変えたものと思われる。バーゴ氏はCクリスト氏の最新の行動についてはあえて触れなかった。

関連記事:Programmer who took down open source pieces over Chef ICE contract responds

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VRは娯楽より企業利用がメインか?…DIRTTのVRソフトICERealityはリアルタイムでオフィスレイアウトを助ける

dirtt-mixedreality-6

オフィスなどの仕事場のために、カスタムメイドのプレファブ素材を提供しているDIRTT Environmental Solutionsが、仮想現実(virtual reality, VR)を娯楽ではなく企業目的のために利用する企業の、仲間入りをした。

今週シカゴで行われた建設産業の例年のトレードショーNeocon 2016で同社が披露したICErealityが、そのVRソフトウェアだ。そう、今週は、AppleのWWDCやビデオゲーム業界のE3カンファレンス以外にも、見るべきものがあったのだ。

DIRTTは、顧客のニーズを満たして、スタイルが良くて、しかもエコなワークスペースを建築家やデベロッパーやファシリティマネージャーやインテリアデザイナーたちが作れるための、素材を提供したい、と願っている企業だ。

そのための彼らの工程は、デジタルの青写真をDIRTTのクラウド上のデザイン/プランニングソフトウェアICEを使って作ることから始まる。そしてICErealityは、この段階で利用される。それはこの秋に一般公開の予定だが、今は招待制のベータで少数のユーザーに提供されている。

ICErealityはデザイナーや実際にその仕事場を使う人たちに、これから内装工事をしていくスペースの上に、そこに配置するいろんな要素の仮想的な三次元画像を重ねた映像を見せる。彼らは、カウンターや特注のドアや間仕切りや窓、ブラインド、家具などが、どんな感じでそのスペースに収まるかを、実際に見て検証できる。

そのデモビデオがここにある。このビデオでは、DIRTTが空のステージの上にキャビネットやカウンターを(仮想的に)作っている。(2:20のあたり):

ICErealityは、部屋のデジタル部位(家具など)の形を、ビデオにぴったり合うように翻訳する。そうするとユーザーは、それらの新しいプレハブ部位が実際に部屋に置かれたとき、どんな感じになるかを事前に理解する。

DIRTT's ICEReality is VR software used for office and interior design.

DIRTTのICErealityはオフィスやインテリアデザインで使うVRソフトウェアだ。

DIRTTの協同ファウンダーでCTOのBarrie Lobergによると、ICErealityはOculus RiftやHTC ViveのようなVRヘッドセットで使うとさらに没入的な体験ができるが、スマートフォンやタブレットでも使える。

まだ完全な画面描画が行われないので、テキストや情報がビデオにオーバレイされる。DIRTTによれば、これはVRでもARでもなく“混成現実(mixed reality)だ、という”。

彼曰く、“ユーザーがデザイン変更などをリアルタイムでできて、結果をすぐに見られるから、従来の3Dのシミュレーションより良い。望み通りのデザインが完成したら、それをそのままオーダーできる”。

Lobergの展望は、このような良質なデザインツールにより、高価につくミスや途中変更を防げることだ。これまでは、もう変更はできない!という、あまりにも遅すぎるタイミングで大きな変更を要請されたりしていたのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))