筆者のスケートボード歴は、人に言いづらい程度には長いのだが、それでも手すりから手を離せなかった。仮想現実世界で経験する方向感覚の喪失のせいにしておこうと思うが、単純にE3のにぎわいの中でスケートボードシミュレーターから無様に落っこちる不安があったせいもあるだろう。
この展示は、SamsungのGear VRヘッドセットの販促のために、カナダのハードウェア企業D-Boxが同社のメカニカルシステムを使用してロングボードでのダウンヒル体験をシミュレートするものだった。
「要は、板の下に電気機械式のアクチュエータがあって、コンテンツと同期することで地面の質感やカーブの感覚が得られるのです」と、D-Boxのセールス担当VPであるYannick Gemme氏はTechCrunchに対して語った。「すべてのキューは、D-Boxがリアルタイムに生成するので、プレイヤーもアクションの一部になります」
E3のような展示会場でゲームに没入することには抵抗感もあるが、D-Boxによるビデオとインタラクティブな体験のマッチングは、砂利道のガタガタする振動に至るまで実に見事な仕上がりだった。感心するような体験ではあるが、私たち(つまり、大量の車やプライベートジェットを所有していたり、自分の名前にちなんだステーキがあるような人たち以外の一般人)にとっては、手が出る値段ではない。
「D-Boxは、消費者向け製品の開発に取り組んでいます」と、Gemme氏は言う。「お茶の間にVRが導入されれば、映画鑑賞であれゲームであれ、D-Boxが欲しくなるのが道理でしょう。ヘッドセットを装着すれば、世界の中に入り込めるのですから」
その時代が来るまで、実際に体験するにはゲームセンターやE3のような展示会に行くしかなさそうだ。
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(翻訳:Nakabayashi)